2018.11.10
海外での活動

「難民子ども文化祭」を開催しました

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
活動風景

こんにちは。ミャンマー(ビルマ)難民事務所の山内です。先日私が赴任してから一番楽しみにしていたイベントが終了しました。今回はそのイベント「難民子ども文化祭」についてお伝えします。
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難民子ども文化祭とは

難民子ども文化祭(RCCF)は、1996年から2006年の間にシャンティの各国事務所が主催していた「アジア子ども文化祭(ACCF)」を引き継ぎ、2009年より毎年開催しています。その目的は伝統文化の保護と一時的な避難場所である難民キャンプで、様々な民族の間での文化理解を養うことです。難民キャンプの住民の多くはカレン族ですが、その他にもビルマ、パオー、アラカンなど様々な民族が暮らしています。今回開催場所となったヌポ難民キャンプでは、大きく分けて8つの民族が暮らしており、各民族の子どもたちがこの文化祭に参加しました。
毎年テーマが変わり、今年のテーマは「平和」でした。難民キャンプでは厳しい状況が続いていますが、平和な世界を共に作るために、団結し、互いに助け合って困難を乗り越えて欲しいという願いを込め、このテーマが選ばれました。1日かけて行うこの文化祭のプログラムは、レクリエーション(昼の部)とパフォーマンス(夜の部)の2つに分かれています。

レクリエーション(昼の部)

各民族が混ざったチームを作り、手を繋いで一緒に歌を歌ったり、ゲームをして楽しみます。
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ヌポ難民キャンプの図書館青年ボランティアがこの文化祭実施のサポートをしていて、青年ボランティア達が読み聞かせや人形劇を披露する時間もあります。会場には絵本を置いた「リーディングコーナー」を設置しており、休憩時間には本を取って読むことができます。
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パフォーマンス(夜の部)

夜になると様子は一変。民族衣装に身を包んだ子どもたちが踊りや歌を披露します。カレン族のお正月などで、キャンプ内でイベントが行われることがありますが、何かを披露するのは青年や大人が中心で、子どもが中心となって参加するイベントというものはありません。この文化祭で初めて、子どもたちが多くの人の前で何かを披露するという、初めての体験をします。子どもたちの親はもちろんのこと、多くの住民が集まり、パフォーマンスを見届けます。各民族の誇りを持ち、子どもたちが自信を持ってパフォーマンスをしていました。
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個人的に一番心に響く音楽でパフォーマンスを披露したチン族の子ども達。

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カレン族は2つのグループに分かれており、今回はポーカレン、スゴーカレン、両方のパフォーマンスを楽しむことができました。写真は「ポーカレン」のパフォーマンスです。

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各民族から代表者が集まり、全民族合同のスペシャル・パフォーマンスもありました。

難民子ども文化祭を終えて

実は第10回目を迎える今回の難民子ども文化祭で、この文化祭の開催は終了となります。BRC事務所がこれまでキャンプと協力しながら、開催してきた大きなイベントが節目を迎えました。初めて行った時は実施側の苦労も多かったと思いますが、今回は運営する現地職員もキャンプ側の関係者もこのイベントへの理解が深く、すべてスムーズに進行されました。特にキャンプリーダーからの挨拶では、「このイベントは異なる文化を持つ人が集まり、互いを理解し合ういい機会です。今日感じたことを今日で終わらせずに、将来も気持ちを持ち続けましょう。難民キャンプから平和を作り、ミャンマー本国へも平和を広げましょう」という素晴らしい言葉がありました。
文化祭を行う本質を理解してくれるリーダー、実施のサポートをする青年ボランティア、長年の経験を持つ運営側のシャンティの現地職員たち。すべての積み重ねが、このような素晴らしい時間を作る文化祭を生み出したのだと思います。
個人的にこの文化祭を楽しみにしていたのは、私自身がこの仕事に就く、そもそものきっかけが「文化」であったためです。自身のきっかけと今いる場所が、この文化祭で結びついたように思います。深い感動を感じるまでに、この文化祭を作り上げてくださった、すべての関係者の皆様に感謝申し上げます。