カンボジアの農村の子どもたちと幼稚園
みなさま、こんにちは。カンボジア事務所の萩原です。
現場にいると、びっくりすることがたくさんあります。カンボジアに来てすでに5年目の私としては、もはやそんなに驚くことはないのですが、たまにあります。
こちらは幼稚園モニタリング中の一コマ。何か、おかしくありませんか?
では、もう1枚。
そう、幼稚園なんです…が、「君、小学生だよね?」
小学生も幼稚園児も関係なくみんな一緒くたに絵本を見たり、パズルをしたり、おままごとをしたり。いや、ここ幼稚部なんだけど…。あ、けんかが始まった!
今の事業で対象にしているのは幼稚園ですが、カンボジアの幼稚園のほとんどが小学校の空き教室を活用した「併設型」。ですので、小学生が幼稚部に遊びに来て絵本を読んだりする姿自体は、そんなに珍しくないのです。が、ここまで殺到するのはあまり見ません。
僻地の学校に行くとそもそも幼稚部がなかったり、小学校でも校舎や教材、絵本がなかったりします。今回訪問した小学校兼幼稚園も幹線道路から外れたかなりの田舎でした。
こちらはカンボジアの農村部の様子。ここで描かれているのは決して珍しいことではありません。
もちろん、「ものがない」ことを短絡的に悪いと決めつけることはできませんが、子どもたちが絵本を食い入るように見たり、おもちゃで遊ぶのに没頭している姿を見ると、「心から欲しているのだな」と思います。
おままごとセットを取り出す。遊びの間は自分の世界へ。
自分の引き出しができてうれしいのか、意味もなく(?)出したり戻したり。スタッフが引き出しの状態を確認しに来たら、「だめ!ここ僕のロッカーだよ!」という子どもも。
ある幼稚園の先生は、「子どもたちは新しくなった教室が大好きなの。うちは午前と午後の2シフトやっているのだけど、午前シフトの子が午後も幼稚園にいたりするのよね。まあ、帰れって言うのもなんだからねえ」とのこと。
「それはいいのか?」と思いつつ、午後もちょこんと教室にいる子どもたちの様子を思い浮かべたら、ちょっと幸せな気持ちになりました。
幼児期は、子どもたちが楽しみながら、遊びや実体験を通して成長し、その後の発達への基礎を築く非常に大切な時期です。そのとき大切なのが、「楽しい」ということ、そして自分を受け入れてくれる環境があるということ。そしてきちんとした幼児教育を農村部や僻地で行うことは、発展から阻害されがちな子どもたちのより良い未来を築くことにつながります。
子どもたちにとって、幼稚園や小学校がそんな楽しい場所、来たいと思える場所、大好きな場所になるよう、地道な活動をこれからも続けていきたいと思います。
本事業はJICA草の根技術協力事業の一環として実施しています。
カンボジア事務所 調整員 萩原宏子