2023.06.14
海外での活動

カンボジア僻地小学校で補習推進事業を開始しました

カンボジア
事業開始
活動風景

チョムリアップスオ(こんにちは)!カンボジア事務所の山内です。
今年の2月から、カンボジア事務所ではポーサット州僻地にある小学校2校を対象に補習推進事業を実施しています。カンボジアにおけるコロナ以降の教育の中で、大きな問題となっている子どもたちの学習損失へ対応することが目的です。

カンボジア僻地小学校での補習推進事業とは
カンボジアではコロナの影響で過去2年間に渡って学校が閉鎖されました。2019年は100日間(全体の50%)、2020年は150日間(全体の75%)学校が閉鎖となりました。子どもたちが学校に通えない状況が続き、その結果、もともと低学力だった子どもは更に学力が低下し、学習意欲が高かった子どもも学力を維持できなかったとされています。教育省は学校閉鎖期間中、遠隔学習に注力し、小学校の分野において約3,000のデジタル教材が開発されました。それらの教材はインターネット、テレビ、ラジオで配信されましたが、その活用率は都市部で35%、農村部で20%であったとされています。(UNICEF報告書より)

現在もカンボジア教育省のYou Tubeなどで動画が配信されています。

教育省が実施するカンボジアの小学校6年生を対象にした学力テストでは、コロナ以前の2016年と比較し、2021年は「基礎学力の基準未達」とされた子どもが増えたという結果が出ています。学校閉鎖の影響が大きく、多くの子どもたちの教育の機会が失われたことが分かっています。
現在は学校が再開していますが、約2年間の学校閉鎖の影響は続き、特に僻地の小学校では少人数の先生で授業運営をしているために、学習が遅れてしまった子どもへの対応が十分にできないという問題を抱えています。
そこで、学校閉鎖期間中に開発されたデジタル教材を活用した補習授業を、僻地の小学校で推進する本事業を始めることにしました。具体的には学校閉鎖期間中に開発された授業動画を活用して学ぶことができる環境を整えた自習室と、子どもたちが調べものができる図書を配架した図書室を併設した学習施設を学校に建設し、その施設で子どもたちの補習や自習の推進を行います。デジタル教材を活用することで、先生の手をあまりかけずに学習の遅れている子どもの学びを支え、将来的には子どもたち自身で学ぶ習慣を身に着け、学習意欲の向上に繋がることを期待しています。

これまでの活動
事業が始まってからは早速学習施設の建設が始まっています。

建設中の学習施設

また、学校と集合村の事務所で事業説明会を実施し、事業をより理解してもらう機会を作りました。この事業では子どもたちの自発的な学びを促進するので、周りの大人たちの応援が必要です。学習施設での補習を定期的に確認してもらうことや、子どもたちが普段の授業以外で勉強することを保護者に理解してもらうように啓発する協力を説明会を通して呼びかけました。


学校での事業説明会の様子。どんな協力ができそうかを協議して書き出してもらいました。


集合村での事業説明会の様子。地域の協力を得たいと学校の先生から直接協力を依頼する時間となりました。

あと数ヵ月で建設が完了し、以降は補習の開始に向けた準備や研修を行います。こちらは1年間のみの事業となりますが、今後も皆さまに進捗の様子をご報告したいと思います!

カンボジア事務所 山内
※本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力により実施されています。