カンボジア バッタンバン特別支援学校での読書推進研修
チョムリアップスオ!
カンボジア事務所インターンの佐藤です。
カンボジア事務所での読書推進活動における2025年度の新しい取り組みとして、バッタンバン市の特別支援学校での図書館整備と読書推進研修があります。そこで今回の活動内容報告では、5月8日、9日に実施した、読書推進研修の様子をお伝えしたいと思います。(特別支援学校については、以下の記事で紹介しています:カンボジア 2025年度の読書推進活動、スタート!| 活動内容 | 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA))
研修の様子。特別支援学校の1教室を借りて実施しました。
今回の研修には、副校長や図書館員を含め、計12名が参加しました。(個人的には、若手教員が意外に多かったのが印象的でした!)
参加者たちは、研修の1日目は座学を中心とした理論的な部分について学び、2日目は図書館だけでなく授業でも応用可能な手作り教材づくりを実践しました。
1日目は、図書館の重要性や図書館運営にかかわる基礎的な知識、図書館内の本・道具の管理やメンテナンスの方法、おはなしの読み聞かせに関する理論、図書館を授業で活用する方法など、多岐にわたる内容を扱いました。特に、おはなしの読み聞かせの経験がある教員が少なかったため、まずは本や紙芝居の持ち方や見せ方という基本的な部分から始めました。また、教員同士で実際に簡単な読み聞かせにチャレンジし合う光景もみられました。
実際に紙芝居を手に持ってみる研修参加者たち
2日目の研修では、特別支援学校での授業や図書館での活動に応用できる手作り教材を取り扱いました。例えば、授業の始めに行うアイスブレイクやおはなしの読み聞かせの際に使用できる道具、身の回りのもので簡単に作ることができる学習用教材などを紹介し、参加者に実際に作成してもらいました。
教材作りに関しては、カンボジア事務所の過去の幼児教育事業で作成したガイドブック、シャンティ他国事務所から共有された話、またインクルーシブ教育に関する活動経験がある他のNGOから伺った話を参考にし、アイデアを得ることができました。
個人的に印象深かったのは、参加者の創造力や芸術的センスが教材の作成を通して遺憾なく発揮されていたことです。教材作成の最中は皆集中しつつも生き生きと楽しんでいる様子が見られ、最終的にはさまざまな種類の手作り教材ができあがり、教員たちも達成感を感じていたようでした。
完成した手作り教材を使って実際に遊びを体験している教員たち
完成した作品たち
今回の研修に参加した教員の中には、これまで図書館にあまり馴染みのなかった人も多くいたため、図書館に関する基本的な知識やマネジメントの方法を広く周知する機会になりました。また参加者にとって、手作り教材に関する研修は今回が初めてとのことで好意的な反応が多く、「本研修で作成した手作り教材を、日頃の授業を通して子どもたちに広めていきたい」という声や、「研修で扱った手作り教材は必ずしも聾や盲の子どもたちにそのまま適用できるものばかりではなかったものの、今後は自分の持っている知見と組み合わせて応用し、子どもたちにより一層フィットするような教材を考えて作ってみたい」といった声が聞かれました。
シャンティにとって特別支援学校への支援は新しい取り組みのため、研修内容のアイデア出しの段階などで試行錯誤することもありましたが、参加者からこのような声を得ることができとても嬉しく思っています。加えて、今回の研修では参加者との意見交換の時間も設けたことで、シャンティにとっても新たな視点を得ることにつながったと感じました。
カンボジア事務所インターン 佐藤