2024.06.25
緊急人道支援

片付けをしながら語られる思い|令和6年能登半島地震

国内災害
活動風景
震災

深刻な被害を受けたご自宅や倉庫から家財を運び出す、片付けのお手伝いを行っています。

片付けをしながら、お家の方が様々な思いを語ってくださいます。
ご本人から掲載の許可をいただいたエピソードをご紹介します。

”蔵にある品物-家族の思い出”

Cさんのお話です。
お宅の前に蔵があります。この蔵の外壁が地震により、基礎からはずれてしまい解体することになりました。
この日、Cさんとご家族は蔵の中にある家財を、使用するものと処分するものに分けていきました。私たちは蔵の2階に保管されていた食器や重箱、壺など、様々な家財を運び出すお手伝いをしました。

蔵の中の床には、保管されていた物が散らばっていました。
家財をご自宅に運び集めていると、Cさんとご家族が品物についてお話しをしてくださいました。

「昨年他界した父は外国航路船の乗組員をしていて、世界中を回っていました。日本では珍しいものを訪問先の国でよく買ってきました。そうしたものを蔵の2階に保管していたのですよ」

「輪島塗の重箱を使うのはもったいないと仕舞いこんで、普段は安価な器を使っていたけれど、これからはこの重箱を使おうと思います。気分も変わると思うから」

「こんなに片づけを手伝ってもらって、父も御礼を伝えたがっていると思います」

地震で床に散らばってしまったものに、たくさんの思い出があります。

”見守っていたつばめの巣”

解体することが決まったDさんのご自宅を訪問し、たんす、机、冷蔵庫などを運び出しました。

Dさんと奥様が運び出した家具についてお話しをしてくださいました。

「以前は雑貨店を開いていました。その時に使用していた業務用の冷蔵庫も今回処分します。」
「この机は、私が中学生の頃から使っていた机です。」

処分する家具を運び出し、災害片付けごみの集積場に運んでいると、ツバメの巣の話を聞かせてくださいました。

このツバメの巣をDさんの奥様は毎年見守ってきました。
毎年倉庫の天井にツバメが巣をつくるそうです。今年も巣作りの季節になり、ツバメたちは忙しそうに空を飛び回っています。

「ツバメは人が通るところに巣をつくります。人がいると蛇が近づけないから。この倉庫は人の出入りもあったので、ツバメたちにとって都合がよかったのだと思います」

「地震の被害を受けて、この倉庫も解体が決まりました。今年は雛たちの巣立ちに間に合うと思うけれど、来年はツバメたちはここで巣をつくることはもうできないと思います」

ここで暮らす人たちの思いを伺いながら、片付けのお手伝いを進めています。

 

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