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2026.03.24
海外での活動

ラオス 子どもたちの学びと笑顔のために―村民と教員が進める読書推進と教育開発の現場

スタッフの声
ラオス
活動風景

ສະບາຍດີ(サバイディ:こんにちは)!

ブログをご覧いただきありがとうございます。3月に入り、ラオスの気温はぐんぐんと上がってきました。また、各地で一時的な降雨も確認され、今年は早目の雨期入りが予測されています。

私たちが対象としている学校は、少数民族が多く住んでいる山岳へき地に点在しており、雨が続くと山道が悪路と化し、一部の学校には辿り着けなくなってしまいます。そのため、学校や村への訪問を要する活動は乾季(10~3月)に実施することが求められます。

 

対象校までの山道にて泥にタイヤがはまって動けなくなった車を引っ張って助けようとするシャンティの車(2025年9月撮影)

 

直接現地訪問を要する活動の中にモニタリングが含まれます。本事業のモニタリングでは、対象の教員や村人たちがこれまで研修やワークショップ等を通じて学んだ教育・文化活動の実施状況を確認し、データの収集・分析を行います。そして、その結果に基づき、さらなる対策を練り、現場での活動の頻度や質の向上を目指します。

私たちは2024年度末から2025年度半ばにかけて読書推進活動と村落教育開発委員会のためのワークショップを実施しました。以下のリンクから当時の活動の様子をご覧いただけます。

ラオス JICA草の根技術協力事業 教員を対象とした読書推進活動ワークショップを実施しました!

ラオス 読書室・読書コーナー開設ワークショップを実施しました!

ラオス 22カ村を対象にした村落教育開発委員会のワークショップが完了しました!

読書推進活動と村落開発教育委員会のワークショップからそれぞれ約一年そして約半年が経過した今、彼らの活動がどれくらい、そしてどのように実施されているかを確認しそのデータを収集するべく、去った2月にモニタリングを実施しました。

 

ゆっくりと、しかし着実に定着してきた読書推進活動

学校に到着して、私たちはまず読書推進活動を観察しました。教員には「いつものように、読書推進活動をやってみてください」と依頼し、彼らが日頃行っている読み聞かせや自由読書、絵本の貸し出し等の活動を見せてもらいました。

読み聞かせでは、初めに教員が選書をしたり児童に何を読んでほしいか尋ねたりする様子が見られました。実際に読み聞かせが始まると、教員は大きな声でお話しを読み上げ、子どもたちはそれに静かに耳を傾けます。カム族やモン族等の少数民族、特にその中でも低学年の児童は、ラオ族の子どもと比べてラオス語の習得に時間が掛かり、授業や学習到達度に遅れが出てしまうことがあります。しかし、ラオス語を使った絵本の読み聞かせでは、そんな少数民族の子どもたちが、お話の中で起こる出来事や登場人物の気持ちに共感するような表情や反応を見せるのです。

 

少数民族児童が教員の読み聞かせを聴いている様子

 

少数民族児童が読み聞かせを聴いている様子

 

読み聞かせをしている教員も、お話の途中で子どもたちがついてこれているかを確認するために時々問いかけをしたり、絵本で語られる教訓や学びを繰り返し読んだり、お話と児童らの日常を関連付けたりして理解を促そうとします。

 

教員が少数民族児童に語り掛けている様子

 

多くの学校で、読み聞かせが終わると子どもたちには自由読書の時間が与えられました。彼らは、気になる絵本の表紙の絵を見たり題名を読んだりしながら、あれでもない、これでもないと選書に時間をかけます。

そうやって時間をかけて選んだ絵本をござの上まで運び、各々好きな体勢で読書を始めます。指で文字を追ったり、声に出したりしながらお話を読む子もいれば、まだ文字が読めずにページをパラパラとめくって絵を楽しむ子どももいます。教員は、ラオス語の文字がまだすらすらと読めない子どもを把握しているので、その子を見守り時々読書をサポートします。

 

自由読書の時間に絵本を選んでいる子どもたち

 

自由読書を楽しむ子どもたち

 

ラオス語がまだすらすら読めない児童をサポートする教員

 

ラオス語がまだ読めない子どもを配慮した工夫は他の形でも見られました。1、2年生の子どもたちが自由読書を始める際に、教員の指示で5~6名のグループを作りました。各グループで子どもたちが1冊の絵本を選び、みんなでその絵本を声に出して読み始めたのです。2年生や1年生のラオス語が得意な児童を筆頭に、助け合いながらみんなでお話を読んで楽しんでいる様子が伺えました。

 

自由読書でグループを作って1冊の絵本を読んでいる子どもたちの様子

 

ラオス語が得意な男児の周りに他の子どもが集まってみんなで絵本を読んでいる様子

 

読書推進活動の最後は、ほとんどの学校で絵本の貸し出しで終わりました。教員が読み聞かせ用に選んだ絵本や自由読書の時間に読んだ絵本、読みたかったけど時間が無くて読めなかった絵本等、子どもたちはそれぞれの思いを胸に絵本を手に取り、貸し出し記録用のノートに記録を付けてもらって絵本を借りていきます。

 

絵本を借りるために列を作っている児童の様子

 

貸し出し記録用のノートに教員が記録を付けている様子

 

本事業が対象にしている22校において、私たちが事業を開始する前までは、ほとんどの学校で読書室等の読書のための空間は存在せず、絵本を通じた活動や本の貸し出し等は行われていませんでした。しかし、今では全ての学校に読書室または読書コーナーが設置され、定期的に読書推進活動が行われています。この活動が開始して2025年末までに子どもたちに貸し出された絵本の総数は3,759冊です。

 

読書推進活動の開始時期から2025年度末までの絵本の貸し出し冊数(6-8月は夏季休暇のため活動は行われていない)

 

上の結果や写真からも分かるように、私たちが対象とする山岳へき地の小学校において、たくさんの少数民族児童が絵本に触れ多くのお話と出会う機会が増えてきました。

一方で、今回のモニタリングでは、上に挙げたような良い実践例だけではなく、いくつかの改善点も拝見されました。この観察から得られたデータや教員の声などを基に、今後の改善策等について協議を行い、より良い活動が届けられるよう努めていく予定です。

 

村の住民による子どもたちのための学びの場づくり

読書推進活動のモニタリングの次は、村落教育開発委員会が昨年立てた村落教育開発計画の実施状況を確認しました。

実は、本モニタリングに出かける前、私たちの手元に届いていた活動実施報告書はごくわずかででした。そのため、今回の訪問を通して、彼らの背中を押して活動実施をより加速させることを内部で話し合っていました。しかし、実際の状況は報告書の提出数とは異なり、多くの学校で多くの活動が実施されていたのです。

教育開発活動の大半が、児童が安心して学べる環境を整えることです。例えば、校舎の周辺にフェンスや入口に門を建てること(ラオスのへき地では、牛や水牛など大型動物の放牧が多く、そのような動物が校舎に入ってくることを防ぐためフェンスや門は重要な役割を果たします)や、校内の草刈り、壊れた天井の修復等の環境整備が挙げられます。

 

村落教育開発委員会と住民によって建てられたフェンス

 

村落教育開発委員会と住民によって設置された門

 

また、子どもたちが居心地よく学校生活を送るために、校庭に花を植えたり、休息用の小屋や遊具を建てたり、読書室用の本棚を作る活動等も計画され、それらの多くも完了していました。

 

村落教育開発委員会と住民によって設置された遊具

 

村落教育開発委員会と住民によって建てられた小屋

 

ラオスの学校は6月に年度が終了するため、今年度は約3か月残っています。「残りの活動は、この残りの期間で終わらせる努力をする」と教員を含め村の代表らがおっしゃっていました。

今回、村落教育開発委員会の活動に見られた課題としては、活動が完了した後の報告業務です。教育スポーツ省が発行しているハンドブックにも、活動完了後の報告が義務付けられています。今後、各村にとって報告業務がよりシンプルにそして楽に行えるようなシステムの構築や工夫を施していけるよう郡及び県の職員そして関係者と協議を重ねていく予定です。

 

活動完了後の報告書の作成と提出について聴き取りを行っている様子

 

今回のモニタリングを通して、それぞれの村と学校の良い実践例や成功例、課題、教訓などを得ることができました。これらの発見を持ち帰り、山岳へき地に住む少数民族の子どもたちがより良い環境で学び楽しい学校生活が送れるよう、関係者と協力をしながら私たちは歩みを続けていきます。

 

今後もブログを通してラオス事務所の活動の様子を紹介していきますので、是非シャンティの公式ホームページよりご覧ください。

 

ラオス事務所 喜納 昌貴

 

本事業は、JICA草の根技術協力事業の助成によって実施しています。

 

<写真の絵本>

『Who’s hole?』(Action with Lao Children, 作: Khonesavan Sichanthip)
『Help each other』(Action with Lao Children, 作: Bounleuth Sivixay)
『This is the house that Jack built』(Action with Lao Children, 作: Mother Goose, 訳: Duangdeuan Bounyavon, 絵: やべみつのり)
『I want balloons』(Action with Lao Children, 作: Yannavouthi Chantharongsi, 絵: Sengsouly Kattiyasak)

『りんごがひとつ』(童心社、作: いわむらかずお)