パダウン郡公共図書館、情報局職員テインさんの目標
「子どもたちはお話しが本当に好きだということを実感しました。児童スペースが作られた最初の頃、ほとんどの子どもは絵本に触れていませんでした。今まで見たことがなかったので緊張していたのかもしれません。ですが次第に手に取って読むようになりました。読み聞かせの活動の効果だと思います。また子どもたちにとって公共図書館は多少とも怖い存在だったようですが、児童スペースのお陰で図書館に子どもたちが集まるようになりました。児童サービスを開始できたことは本当に喜びです。シャンティの支援に心から感謝しています。」
先月、ピー県パダウン郡公共図書館に日本から来緬いただいていた図書館専門家の方とモニタリングに行った際、児童サービスが開始してから1年が経った今の感想を情報局職員ティン・トゥン・ミンさんに伺ってみました。
パダウン郡は今回の洪水で被害が大きかった地域であり、ブログやプレスリリースですでにお伝えしてきていますようにシャンティは同郡の被災者9,500人に食料・生活物資配布の支援を行いました。避難所は全て閉鎖されましたが、日常の生活が送れる環境にまだ時間を要する状況です。パダウン郡公共図書館も館内ぎりぎりのところまで水が到達していて、ティンさんや図書館員により本や本棚を移動させるなど対応をもらっていました。幸いにもその後水が引き、図書館は無事でした。
洪水対応で大変な状況だったにも関わらず、先月ピー県にて実施された図書館研修会に予定通り参加くださり、「楽しみにしていましたから」と言っていただき嬉しかったです。研修は昨年に引続き2回目となることから、新しい文化活動やお話の種類など実践的内容が中心でした。その中でテインさんがとても気に入ったのが「パネルシアター」のセッションでした。
パネルシアター用のパネルが大きいため、後日各図書館に届けますのでと研修終了後に回収することになりました。すると数日後、「今回の洪水で被害に遭った地域の子どもたちにパネルシアターを見せてあげたいので、パネルを取りに行ってもいいですか」と事務所に連絡が入ったそうで、タヤワディ県で図書館研修を行っていたところ、スタッフより報告を受けました。これほどにも子どもたちのことを考え、そして図書館活動への理解を示してくださっていることに、感謝の気持ちで一杯になりました。
先月、図書館専門家の方による図書館研修会が終了したタヤワディ県にて、現在、児童スペース設置の準備を進めています。同県には8つの公共図書館がありますが、今月末から来月初旬にかけて随時、オープンしていく予定です。タヤワディ県の情報局職員、図書館員の皆さんは児童サービス開始をとても心待ちにして下さっていて、テインさんのように積極的に活動に関わってもらえることを期待しているところです。
「これまで一度も図書館に来たことがない子どもたちが来るようになって、彼らが絵本を楽しんでいる様子を見て、そして変化していっている姿を見て、児童サービスはとても大切なものだと強く感じてきています。私の今の目標は、自身の関わりをもっと高め、活動を増やしていき、もっとたくさんの子どもたちに参加してもらうことです。」テインさんのこの目標はシャンティにとってとても大きな励みになります。
ミャンマー事務所
中原亜紀