ミャンマーの教育改革 理想と現実のはざまの中で
ミャンマー事務所の市川です。
ミャンマーでは、5ヵ年国家教育戦略計画(2016-2021年)の下、約20年ぶりの大規模な教育改革が行われており、暗記中心の教育を脱却し、子ども中心の学びを推進するための新しいカリキュラムに取り組んでいます。日本のJICA(国際協力機構)が、教科書の全面改訂に協力しています。
新しい教科書を受け取り、思わず笑顔の子どもたち
ある学校の校長先生は、「以前は、生徒は教師に従うだけでした。しかし、今は生徒が考えるようになっています。教師はサポーターで、メインは子どもなのです」と熱く語っていました。実際に、2~3年前の夏休みは、教師は休みなしで新しいカリキュラムの研修を受け大変だったという話を聞きました。まさに、教育改革の真っ最中です。
新しい生活科の教科書(学校の登下校、家族、ハッピーな日、
好きな食べ物やスポーツ、親友など、各トピックを語ろうという内容)
しかし、一方で、教育現場を回ると、昔ながらの教え方を目にすることはあります。国語の教科書を丸写しにしている授業、暗唱しているので何の授業か尋ねたら、理科の授業でした。小学校低学年でも日本の中学生レベルの英語を学んでいますが、ひたすら写していました。
ひたすら書き写すこども。ノートが机に対して直角なのが特徴
中高等学校で英語を教えている米国人インターンの方に現場の様子を伺ったら、「60人の生徒に「親への感謝」というタイトルで、英語で3行くらいの文を書かせたら、全員が同じ内容で驚いた」というエピソードを聞かせてくれました。長年、続けてきたこと教育方針を変えるのは、本当に難しいことだと感じました。ただ、一方で、行政や先生方も、何とか変革していきたいという思いも伝わってきます。
当会が公共図書館と協力して実施している学校図書館サービスにおいて、子どもたちが主体的に本を読んだり、学んだり、子ども中心の教育への手ごたえの声を聞くことは多々あります。
子ども主体の教育をサポートする一助となることを信じて、今後も活動を続けてまいります。