タイ・ミャンマー国境での活動
こんにちは。ミャンマー国境支援事業事務所の中原です。
3年ぶりの難民キャンプ
先日、約3年ぶりにミャンマー(ビルマ)難民キャンプを訪問してきました。第三国定住や2016年から開始した自主的帰還を促進するプログラムなどを通じて人口は減少しているものの、密集した住居環境や人々の暮らしぶりは大きく変わっていないように感じました。携帯電話を持っている人が増えていたのが印象的でしたが、タイ国境にある難民キャンプの中でも、メーソット市内から近いメラ難民キャンプだったからかもしれません。
難民キャンプから本国ミャンマーへ帰還された理由と今の暮らし
カレン州での活動開始後、難民キャンプから帰還した人たちに会うことがありました。ある女性に帰還を決めた理由を伺うと「難民キャンプ内は雇用の機会が限られ、キャンプの外に出ることもできず、自由が得られない。キャンプに長く暮らしているが故郷と思えない」と話をされました。
2011年からご主人と3人のお孫さんと共にウンピアム難民キャンプで暮らして7年。2018年、カレン州の村での新たな生活をスタートさせたそうです。お孫さんたちは中学生や高校生となり、将来はエンジニア、教師や看護師になりたいと話してくれました。「孫たちにはきちんと高校を卒業して目標に向かっていってほしい。それを支えるのがこれからの自分の役目だと思っています。」彼らのご両親はタイのバンコクで働いていて、定期的に仕送りをしているそうです。
レイケイコー村の様子
帰還されたご家族と写真撮影
日が沈んだ後の村の様子
ミャンマー国境のカレン州での事業を開始
2019年11月、コミュニティー・リソース・センター(CRC)が無事に開所し、地域の人たちへの活動、サービスが始まりました。児童・大人向けの空間、研修や会議を行うスペース、地域のさまざまな行事を行う多目的ホール、全ての場所にたくさんの人たちに集ってもらいたい、そのために関係者の方々とどう連携していくか、しっかりと考えていかなければなりません。
児童スペースでの読み聞かせ活動
先日、難民キャンプを訪問した時に話しは戻りますが、一人の年配の男性と会った時、こんなことを言われました。「ここでは辛く苦しかった経験が今も記憶に残り、帰還することを決心できない人たちがいます。」
私は以前、難民キャンプでの活動に従事していたため、日々の活動でよく耳にしていた声ですが、10年以上が経った今も変わらない状況があることと、歴史の重さを改めて痛感しました。
こうした人々の思いを変えることは簡単にできることではありませんが、CRCという「場作り」の活動を通して、平和な種が育むように少しでも貢献できればと思います。そしてCRCの存在が、帰還された方々を含めた地域の人たちにとって不可欠な場所となるよう、頑張っていきたいと思います。
CRC管理委員会、村開発委員会や学校関係者などによる四半期会議
MBPとBRC事務所スタッフによる振り返り会議
始まったばかりのミャンマー国境での活動ですが、一歩ずつ、前進していければと思います。 今後ともどうぞよろしくお願いします。
※本事業は、日本財団とのパートナーシップ協定に基づき、外務省より資金援助を受け実施しています。