2023.04.30
海外での活動

ネパール、学校給食が始まって変わったこと

ネパール

みなさま、こんにちは。ネパール事務所の萩原です。

ネパール事務所では現在、世界食糧計画(WFP)のパートナー団体として、ヌワコット郡の小学校における学校給食の普及事業に取り組んでいます。

ネパールでは給食を提供する設備や仕組みが十分に整っておらず、多くの学校で給食が提供されていません。本事業では、キッチンや調理器具などの設備を整えたり、地元の野菜を学校に届ける仕組みを作ったり、保護者に対する学校給食の啓発活動を行ったりすることで、地産地消型の給食を子どもたちに届けられるようサポートしています。

2020年の事業開始直後からコロナ禍に見舞われた本事業ですが、学校ではあたたかい給食が提供されるようになりました。

給食の時間の鐘が鳴ると、あっ!という間に行列。
後ろ側の手洗い場で手を洗ってから並びます。

地元の食材で作った出来立ての給食。順番に受け取り席へ。

黙々と食べます。みんな食べるのに集中してます。

終わったら自分のお皿を洗います。えらい!

同校のシヴァ・ラル・ライ校長先生に、「学校給食が始まってから、子どもたちにどんな変化がありましたか?」と尋ねてみました。すると、「学校給食が始まってから、児童は終日学校にとどまるようになりました。入学者数も増えました。貧しい家庭の子どもたちの多くは、朝何も食べずにおなかを空かせたまま学校に来ており、給食が最初の食事になるためです」と、答えてくださいました。

実際、学校給食により就学者数や出席率が増えたという声は、他の学校や自治体の関係者からもよく聞かれます。

インタビューに答えてくれたシヴァ先生

また、ある自治体の副首長で元教員の女性は、「これまでは豊かな家の子たちが持ってくるものと貧しいタマン民族の子どもたちが食べているものでギャップがありましたが、学校給食により包摂的(インクルーシブ)な雰囲気が生まれるようになってきました」と話してくださいました。

民族・カースト間の格差が課題となっているネパールでは、包摂的な国づくりが重要なテーマとなっているため、こうした声をいただけたのはとてもうれしいことでした。

同事業は2023年で完了の見込みですが、事業終了後も学校給食が継続的に子どもたちに届けられるよう、残りの期間も関係者と協力して事業に取り組んでいきたいと思います。

本事業は日本政府の無償資金協力事業「ヌワコット郡における学校給食計画」として実施しています。

ネパール事務所 萩原宏子