中高生向け・夏休みイベント「海外の子どもに届ける絵本を作ろう」開催報告
2019年8月5日に聖心女子大学で中高生向け・夏休みイベント「アジアの子どもに届ける絵本を作ろう」を開催し、中学生と高校生合わせて31人が参加してくださいました。イベントの前半は、シャンティ国際ボランティア会広報リレーションズ課の鈴木晶子より、活動国で体験したこと、なぜ絵本を届けるのかなど、シャンティの活動や取り組みについて紹介しました。後半は、アジアの子どもたちへ絵本を届けるため、日本語の絵本に現地語の翻訳シールを貼るワークショップを行いました。
https://sva.or.jp/wp/?p=33958
笑顔が消えたカンボジアの歴史
シャンティ国際ボランティア会は「共に生き、共に学ぶ」を大切に、一方的な支援活動ではなく、共に現地の人からも学ぶことが貧困から脱出の糸口だと考えています。
鈴木は4年間カンボジアで活動しましたが、人々の表情には笑顔が少なかったと感じたそうです。主な理由はカンボジアの歴史にあり、学校を禁止され学ぶ場所を失い、家族制度を禁止され家族と共に暮らせず、男性は力仕事を、女性は畑でお米や織物を作らされ、密告制度によって私生活でも本音が言えない状況を作らされてしまったことなどを要因として挙げました。生き残るために難民キャンプへ向かった人たちは、暮らせる場所ができても人間不信に陥ってしまい、特に子どもたちは感情を失ってしまいました。私たちにできることは、人としての尊厳を取り戻すこと、文化的アイデンティティに気づくこと、子どもたちの表情を取り戻すことが大事と思い、絵本を送り続けています。
絵本を届ける理由
ただ絵本を送るだけではいけません。カンボジアでは13人に1人が学校に通うことができず、約21万人が学校に行くことができないまま大人になっていると言われています。
そのため、絵本が送られても文字が読めず絵本に誰も触れなくなります。そこで「おはなし会」を設けて読み聞かせする人を教育したうえで子どもたちに読み聞かせてあげる方針を作りました。お話しする人の表情や声を聴くことによって初めて安心感を得ることができ絵本から繰り広げられるストーリーに引き寄せられ絵本への興味が湧きます。本を読むことで文字も読めるようになり将来的には様々な知恵や感情が身に付きます。暖かい空間を作ることが本を読む環境にとって大切なことなのです。現在シャンティは、6つの国と8つの地域で子どもたちに教育の機会を届けるための活動を行っています。
アジアの子どもへ届ける絵本づくりワークショップ
イベント後半ではミャンマーに送る絵本を作っていただきました。今回は「ええところ」「どんなかんじかなあ」「フローレンス・ナイチンゲール」「へいわってどんなこと?」の4種類の絵本に翻訳シールを貼っていただきました。
翻訳シールが書かれてあるシール台紙をはさみで切り、日本語の文章の上に切り取った翻訳シールを貼ります。この作業を全ページ繰り返し行います。
全てのページに翻訳シールを貼り終わったら、最後のページにシールを貼った本人の名前を現地の言葉で書きます。今回はミャンマーに送る絵本だったので「ビルマ語」を書いてくださいました。
皆さんの協力のおかげで31冊の翻訳絵本が完成しました。この活動が皆さんに知って頂ければ幸いです。
イベントレポート:
シャンティ国際ボランティア会 東京事務所
広報・リレーションズ課インターン
森下千里、片ノ坂美紅