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2025.10.16
開催報告

【開催報告】 国際識字デー記念イベント:危機下における識字・ノンフォーマル教育支援―子ども・若者・成人の学習をいかに継続できるかー

イベントレポート
国際識字デー


写真:パネルディスカッションの様子(左上から内海氏、三宅、真屋氏、Passy氏、 松山氏)

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会は、教育協力NGOネットワーク(JNNE)公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン公益財団法人ユネスコ・アジア文化センターとともに、「国際識字デー記念イベント: 危機下における識字・ノンフォーマル教育支援―子ども・若者・成人の学習をいかに継続できるかー」を9月10日にオンライン開催しました。101名の方にご参加いただきました。本イベントは「第5回教育協力ウィーク」(教育協力ウィーク事務局主催)の一環として開催しました。

【イベント概要】
世界の非識字者が7億5,400万人(女性63%)と多いほか、紛争や震災、気候変動を起因とする自然災害等の危機の影響を受けている2億3,400万人の子ども・青少年・少女が質の高い教育支援を必要としています。危機状況が長期化・複合化する中、子ども・若者・成人が学習を途切れなく継続するには、学校教育だけなく、識字・ノンフォーマル(学校外)教育支援が不可欠となっています。

日本を含む国際社会の支援が重要ですが、米国や欧州の国々の国際援助減少の方針により、教育分野への支援の減少が危惧されています。例えば、UNESCOの報告では、世界の政府開発援助(ODA)の教育分野への支援額は、2027年までに2023年時点の約25%も削減されることが推定されています。国連の報告では、世界の人道支援における教育分野支援額は、2024年の時点ですでに要請額の3割を満たず、今年はさらに状況の深刻化が懸念されています。

このような背景の下、本イベントでは、危機下の教育に特化した国連の基金であるEducation Cannot Wait (ECW)のAmani Bwami Passyさん、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会の真屋 友希、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンの内海 摩耶さん、国際協力機構の松山 剛士さんにご登壇いただき、
① 危機下における識字・ノンフォーマル教育の利点と課題
② 同分野における日本の協力促進に向けたパートナーシップの在り方
について、長期的な危機に直面するアフガニスタン、ミャンマー、バングラデシュ(ロヒンギャ難民キャンプ)、パキスタンでの支援事例を基に議論しました。
本イベントのモデレーター、進行をJNNE三宅隆史さん、小荒井理恵さんが務めました。

【今後への示唆・学び】
・ノンフォーマル教育の比較優位:緊急時の迅速な学習場設立、公教育から取り残される子どもへの学習提供・保護(女子・難民等へのコミュニティ・ベースド教育、識字、図書活動含む)、政府の枠組みにとらわれない柔軟性(提供者、教材・学習内容(平和や気候変動等含む)、教師の配置等)、成人を対象にしたSelf-directed、行動志向型(生活に役立てる等)の学習
・公教育の補完ではなくオルタナティブな教育、政府の制度としてのコミットメントの重要性
・ノンフォーマル教育から公教育への移行、アドボカシーの重要性
・日本の協力促進に向けたパートナーシップの在り方:
難民キャンプ支援におけるホスト国政府との連携の課題、あらゆるレベルでの危機下の教育支援の主流化、国・州・コミュニティレベル、財団等への働きかけ(データの提示)、ECWのような危機下の教育に特化した国連基金、二国間援助機関、NGO等多様なアクターの強みを活かした連携強化

シャンティでは、今後も関係団体と協働し、いかなる状況下でも子ども・若者・成人が質の高い学習を継続できるよう、識字・ノンフォーマル教育や危機下の教育支援についてアドボカシーや啓発活動を行っていきます。


写真:真屋によるプレゼンテーションの様子

【参考:国際識字デー記念イベントプログラム】
開会
事例発表
(1) 「アフガニスタンにおけるECWの支援戦略」
Amani Bwami Passy, Program Manager, Education Cannot Wait (ECW)
(2) 「ミャンマーにおける僧院学校を対象にした移動図書館活動」
真屋 友希 
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 事業サポート課事業推進チーフ
(3) 「バングラデシュにおけるロヒンギャ難民の若者への識字教育支援」
内海 摩耶 
公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン プログラム部職員
コメント
松山 剛士
独立行政法人国際協力機構 人間開発部次長兼基礎教育グループ長
質疑応答・パネルディスカッション 
モデレーター 三宅 隆史 教育協力NGOネットワーク(JNNE)事務局長/
立教大学文学部特任教授
閉会
全体進行: 小荒井理恵 教育協力NGOネットワーク(JNNE)事務局次長