2023.09.08
メッセージ
9月8日「国際識字デーに寄せて」
写真:『おおきなかぶ』福音館書店
災害や紛争といった危機状況下では、衣食住の支援が優先され、教育は後回しにされがちです。しかし、2つの理由からシャンティは危機状況においても教育を大切にしています。
第一に、教育は子どもを保護します。遊びや読書を通じて仲間と時間を過ごすことができる子どもの居場所は、見守られた環境を提供し、安心感を与えます。
第二に、親は子どもの教育を求めています。私はアフガニスタン難民へ食料や生活必需品を支援する事業に従事したことがあります。
事業終了時のインタビューで多くの親から挙がった声は「食料や毛布の支援はありがたい。でも子どもが教育を受けられないことがとても心配。私と違って、子どもには教育を受けてほしいから」というものでした。
どんな苦しい状況にあっても親は子どもの成長と幸せを願っており、そのために教育は不可欠なのです。
ユネスコの学習権宣言(1985年)は次のように述べています。「学習権は未来のためにとっておかれる贅沢品ではない。学習権は人間の生存にとって不可欠な手段である。もし、世界の人々が、食糧の生産やその他の基本的人間の欲求が満たされることを望むならば、世界の人々は学習権をもたなければならない」。
シャンティ教育事業アドバイザー
三宅隆史
「国際識字デー」とは
1965年9月8日からイランで開催された「世界教育相会議(テヘラン会議)」において、当時のパーレビー国王が各国の軍事費1日分を識字基金に拠出することを提案したのがきっかけで、アメリカのジョンソン大統領が米国議会に9月8日を「国際識字デー」に制定するように呼びかけ、UNESCOが制定しました。