2022.03.05
ニュース

「東日本被災地支援×クラフトエイド」新たな取り組みがスタート!

クラフトエイド

こんにちは。クラフトエイドです。
少しずつ春らしい陽気になってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今日は3月より開始したクラフトエイドの新しい取り組みについてご紹介します。

東日本被災地支援×CRAFTAID

2011年3月11日、未曽有の被害をもたらした「東日本大震災」から11年を迎えようとしています。改めて、亡くなられた方々に対し謹んで哀悼の意を捧げるとともに、ご遺族の方々にお悔やみを申し上げます。
この11年の間、被災地域では復興に向けて歩みを進めてきましたが、原災地を中心に復興の歩みが道半ばの地域も多く、また被災地の人口減少や長期避難者の心のケア、震災の風化などの新たな課題も生じています。しかしながら震災から10年を超え、支援事業の終了や縮小するNPOや民間団体も増えています。
クラフトエイドでは、東日本被災地支援として、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、精力的に活動を行う3つの団体の商品を販売することを決めました。震災発生から11年経った今、東日本被災地に残る多くの課題を知ってもらうとともに、パートナー団体の活動の手助けに少しでもなれればと思っています。

 

コミュニティスペースうみねこ(宮城県牡鹿郡女川町)

震災後、子どもを持つお母さんたちの見守り活動からスタートした団体。その後、高齢者の居場所作りに発展。今では地元の若者の雇用促進など市民主体の新たな生業づくりを通し、地域の活性化を目指すなど精力的に活動を続けています。


潮風いちじくの葉茶
津波に流されず、震災から2年後に実をつけたいちじくの木。その生命力に勇気づけられスタートしたいちじく茶作り。仕事を失った元漁師のお父さんたちが、津波で流された土地をゼロから開墾。大切に育て上げたいちじくの葉っぱを使ってお茶にしています。

 

ピースジャム(宮城県気仙沼市)

震災直後、母子への物資支援からスタートした団体。現在は母親の就労支援、子育て支援を中心に活動しています。育児を支えながらベビー用品の製造販売をし、その収益によって地域へ広場の開放や新たな親子の雇用へつなげています。


ベビーモスリン大サイズ
コットン100%の平織り綿で作られた万能布。イギリスなどで出産育児の必需品として古くから使われています。震災当時、緊急支援物資としてこの万能布を配布したのをきっかけに、「支援物資」から「雇用支援」への転換を目指し、今ではピースジャムによる乳幼児のお母さんたちの縫製工場にて作られています。

 

にじいろクレヨン(宮城県石巻市)

災害直後の避難所内での「こどもの遊び場」作りから活動をスタートした団体。
現在は、こどもの居場所・遊び場を通して、地域でこどもを見守るコミュニティーづくりの強化を行っています。農園で野菜を育てたり、災害公営住宅の集会所などを訪問し世代間交流のお手伝いをしたり、お絵描きや陶芸教室やなど活動は多岐にわたります。

 


石巻金華焼
石巻市に新たな産業を育てたいという想いで作られた一つひとつ手仕事の陶器。石巻の素材を使った地産地消の陶器で、地元金華山にちなみ金華焼と命名。活動運営の貴重な資金になるとともに、石巻市の活性化に取り組んでいます。

 

以前よりクラフトで販売をしている岩手県山田町と宮城県気仙沼市のコミュニティー支援団体
「あんでねっと」が作るアクリル毛糸の商品も引き続き販売をしています。

小さな歩みではありますが、この支援の輪が広がっていくことを願っています。

 



シャンティ国際ボランティア会の東日本大震災での活動

2011年3月11日。
東日本全体が大きな揺れを感じ、首都圏ですら大パニックとなりました。当時、東京事務所で勤務していた時、ぐるぐる回るような揺れを今でも覚えています。
当会シャンティ設立後、最大規模の国内災害でもあり、初めての津波被害と向き合う日々でした。津波は地震と違ってすべてを根こそぎ、奪っていきます。それに加えて、福島第一原子力発電所の爆発により放射線の恐怖にも翻弄されました。被災地が広範囲に点在し、緊急人道支援のための活動拠点づくり、ボランティア確保が大きな課題でもありました。

当時、東京事務所の執行部の一員であった私は、仲間と共に、3月16日に東京を出発。ガソリンの販売が制限される中、北上。あまりにも広い被災地の範囲に、どこから活動を始めたら良いのか戸惑いましたが、交通の便を考えると首都圏から比較的アクセスが良い仙台くらいまでは外部からの支援が入ることは予想されたので、我々はさらに北へ行き、岩手県と宮城県の県境である気仙沼市を最初の事業地として活動を開始。その後、岩手県へ活動エリアをひろげ、翌年には、放射線被害に翻弄される南相馬市での活動を開始しました。

気仙沼では、「つながる人の和」という目標を掲げて、地域の人との協働の活動を展開し、まちづくり支援、生業(漁業)支援、子ども支援を行いました。また、岩手県の山田町、大槌町、大船渡町、陸前高田市と宮城県の山元町、福島県南相馬市では、仮設住宅における移動図書館活動を実施。仮設住宅への避難生活を余儀なくされた皆さんへ、本と共にホッとくつろげる場を提供しました。そして、2016年から、避難指示が解除された南相馬市小高区において、帰還された方が安心して過ごせる場づくりを目指しました。2018年末には、現地事務所を閉鎖して、現地における活動を終了させました。

 

東日本大震災を通して

さて、改めて、緊急人道支援に関わる中で感じたのは、「災害は地域で起こる」ことです。大きな災害ほど、当会のようなボランティア団体、被災地外からの自治体職員の応援など、外部からの支援が入り、連携しながら、緊急救援から復興支援活動に関わります。しかし、外部の団体・人は基本的には、いつかは撤退していきます。その中で、大切なのは、地域の皆さんで協力しながら、「よりよい復興(build back better)」を目指すことです。この言葉は、2015年3月、仙台で開催された第3回国連防災世界会議において、東日本大震災の経験と教訓が取り入れられた「仙台防災枠組2015-30」が採択された際、そこで示された新しい考え方を象徴した言葉です。

今回、当会として、新たなクラフトの取り組みを上記の3団体と開始しました。どの団体も、震災後に地域の皆さんが協力して生まれたものです。この動きを外部から関わらせていただき、地域における「よりよい復興」のお手伝いになれば幸いです。

 

市川 斉

公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 地球市民事業課長
1990年シャンティ国際ボランティア会に入職。1995年阪神・淡路大震災における緊急救援・復興支援、2001年米国同時多発テロ事件後のアフガニスタンで緊急救援活動や教育支援活動に携わる。2005年より海外事業課長、事務局次長、常務理事に従事。2019年7月より2年間、ミャンマー事務所長、2021年より現職。(写真:左から3番目)