2022.10.07
メッセージ

【追悼メッセージ】山脇百合子さん

追悼メッセージ

画家・絵本作家の山脇百合子(やまわき・ゆりこ)さんが9月29日、80歳でご逝去されました。
『ぐりとぐら』シリーズや『そらいろのたね』など、児童文学者の姉・中川李枝子さんとともに人気作品を生み出してこられました。
なかでも、『ぐりとぐら』はアジア、ヨーロッパでも翻訳され、今もなお世界中で愛されています。

シャンティでは、「絵本を届ける運動」を通して、山脇百合子さんの絵本『ぐりとぐら』シリーズと『そらいろのたね』、あわせて11,555冊を、6つの言語の翻訳絵本にして、カンボジアやアフガニスタンなど、アジアの子どもたちに届けてきました。
一目で山脇さんの作品とわかる、色彩豊かでやさしさにあふれた愛らしい絵は、国や文化を超えて、どの活動地でも長年親しまれています。


『ぐりとぐら』中川李枝子 さく 大村百合子 え(福音館書店)
左から、パシュトゥー語、ラオス語、ビルマ語


『そらいろのたね』中川李枝子 さく 大村百合子 え(福音館書店)
左から、パシュトゥー語、ダリ語、クメール語

シャンティの活動地では、貧困や紛争によって十分に学ぶことができない子どもたちが多くいます。どのような環境でも子どもたちが学び続けられるよう、シャンティは「本の力を、生きる力に。」を想いの軸に、安心できる場所をつくり、人を育て、学びと出会うための活動を続けています。これまでに、「絵本を届ける運動」により、日本から36万冊の絵本が海をわたり、子どもたちの手に届きました。
絵本は、子どもたちの想像力や好奇心を育てます。自分で考え、未来を切り拓くための「生きる力」になります。

山脇さんがのこしてくださった絵本は、これからも活動地の子どもたちの「生きる力」を育んでいくことと思います。シャンティ職員一同、感謝と共に、心よりご冥福をお祈りいたします。

【山脇百合子さんプロフィール】
東京都生まれ。高校三年生のとき童話の挿絵をつけたことがきっかけで絵本作家となる。上智大学フランス語科卒業。『ぐりとぐら』シリーズ、『そらいろのたね』(福音館書店)などの絵本の絵を手掛けた。童話の挿絵に、『いやいやえん』(福音館書店)などがある。また、絵本の絵の仕事以外に翻訳の仕事にも携わった。