アフガニスタン政変から1年。生きる希望を絶やさぬよう、寄り添い、支える
昨年8月15日の政変から1年がたちました。
今も国土の半数以上が紛争地となった、アフガニスタンの多くの土地は静けさを保っています。あちこちで、建設途中で放置された建物や道路がむなしく工事の再開を待ち続けています。
この1年間、私たちはこれ以上の活動の継続は無理かもしれない、という絶望的な思いに何度も直面しました。「女子教育、就労の禁止」という国際社会に衝撃のニュースが流れ、中学校以上の女児たちの教育の空白期間は、365日を超えてしまうこととなりました。いまだに再開の目途はたっていません。
そして、タリバン暫定政権に対しての制裁の影響を直接受けることになったのは、政変以前より食料危機が深刻化する中で、明日の食べるものもない状態に置かれた子どもたちです。このままでは、飢餓という最悪の人道危機を迎えかねない中で、アフガニスタンに送金ができないという事態が続いていました。ようやく送金が可能となり、食糧配布が再開できた際には、多くの住民が押しかけ、中には食糧を前にひざまずいて、涙を流す父親の姿がありました。食べるものがなく、子どもを売りに出すしかないギリギリのところで届いた食料でした。
1年が経過した今、アフガニスタンでは、市民団体、旧政権下の職員、そして女性たち、多くの人たちが立ち上がっています。皆がタリバンの政策や方針に賛同しているわけではありません。また、真っ向から反対を唱えて闘うのではなく、地域に密着して、社会課題の解決を図ることで信頼を構築する努力をしています。私たちにできるのは、そういった人たちの思いを後方から支えていくことです。
「もし自分の子どものことを考えたら、今のアフガニスタンに残る選択をしたことは間違いだったかもしれない。でも、どうしても子どもたちを、私たちの国を見捨てることはできませんでした。」職員がふと漏らした声です。一人の父親として、援助ワーカーとしての葛藤を抱えている彼らのつぶやきに、胸が締め付けられます。
今私たちができることは、アフガニスタンの子どもたちが生きる希望を失わないよう、寄り添うことです。彼らが絶望し、生きる望みを失ってしまったときにアフガニスタンは本当の意味で崩壊に向かうのではないかと思います。そして、それは日本をはじめとする国際社会にとっても他人事ではありません。
国際情勢が大きく変わり、アフガニスタンも再び忘れられつつあります。そういった中で、日本国内において、アフガニスタンを忘れず、支援を継続してくださる多くの方々がいることが現地の支援に携わる人たちにとっての支えになっています。今日まで、私たちの活動を変わらず支えてくださっている多くの皆様には心から感謝申し上げます。
事務局長
山本英里
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