2021.11.19

【特集】子どもの権利条約①~「子どもの権利条約」ってなに?~

11月20日は「世界子どもの日」

「世界子どもの日」は、子どもたちの世界的な相互理解と福祉の向上を目的として、1954年11月20日に国連総会で制定されました。その後、1989年には、全ての子どもの基本的人権を保障する国際条約「子どもの権利条約」が採択されました。

この条約では、子どもの「生存、発達、保護、参加」を含む包括的な権利を保障しています。
1.[生存] 生きる権利:すべての子どもの命が守られること
2.[発達] 育つ権利:もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療や教育、生活への支援などを受け、友達と遊んだりすること
3.[保護] 守られる権利:暴力や搾取、有害な労働などから守られること
4.[参加] 参加する権利:自由に意見を表したり、団体を作ったりできること

2020年末時点で196の国と地域で締約され、締約国は条約の実効と進捗状況の報告義務を負っています。

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子どもの権利が守られていない子どもたちのケース

シャンティが活動を行っている各国・各地域では、「子どもの権利」が守られていないケースが少なくありません。

ラオス「先生の話す言葉が分からない」
ラオスの北部地域には、公用語であるラオス語を母語としない少数民族の人たちが多く住んでいます。
家では民族の言葉を使いますが、学校に入学すると授業はラオス語で行われるため、先生とのコミュニケーションがうまくいかず、理解不足による学力低下や退学の原因にもなっています。
ラオスの少数民族
ラオスの小学校の授業風景

ミャンマー「保護者のいない子どもたち」
ミャンマーでは子どもの福祉の整備が遅れ、特に孤児への支援不足が社会問題となっています。保護者がいない子どもたちは寺院が運営する孤児院に預けられ、その寺院が運営する学校へ通うことができます。しかし、寺院や学校の運営費用は住民の寄付によって賄われており、慢性的な財政難に悩まされています。

ミャンマーの孤児院寺院が運営する学校に通う子どもたち

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.308(2021年冬号)」に掲載した、特集「子どもの権利条約」の内容を元に再編集したものです。

シャンティは今年で設立40周年を迎えました。その間、アジアの国々で教育文化支援に取り組み、その活動の根幹には「子どもの権利」が大きく関わっています。子どもの権利について定めた「子どもの権利条約」と、権利が守られていない子どもたちの現状について、2回にわたってご紹介します。
ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。