2020.03.10
読み物
ネパールをもっとよく知るための7つの書籍・映画
2008年に王制から連邦民主共和制に移行したネパールは、2015年4月の大震災を経て、2015年9月20日に民主的な新憲法が公布されました。内戦や大震災など苛酷な現実を乗り越えてきたネパールは、多様な文化・宗教・民族を包摂した寛容な国としても知られています。さまざまな顔を持つネパールを完全に理解するのは難しいかもしれませんが、それがネパールを知る醍醐味の一つかもしれません。今回は、そんなネパールの魅力を感じる事のできる作品をご紹介します。
1『TRANSIT(トランジット)43号 カトマンズもヒマラヤも! 愛しいネパール』
- ネパールの歴史や人々、風景を写真や可愛いイラストと共に紹介するトラベル・カルチャー・マガジン。エヴェレスト街道の旅行記や歴史あるネパールの都市の紹介などに加えて、ヒマラヤの奥地で暮らす人々の姿や少女強制労働問題のあったニムディに生きる女性たちなど、ネパールの深い部分に触れることもできる。楽しみつつ、さまざまな角度からネパールを知ることができる一冊。
2『ネパールを知るための60章』
- 専門家や教授、国際機関職員、NGO関係者らが執筆した、ネパールのさまざまな側面を理解することのできる一冊。ネパールの文化、支援や経済面での問題など多様な切り口からネパールの姿が述べられている。ネパールについて一から勉強したいという方におすすめ。
3『ヒマラヤに捧ぐ』
- ネパール大震災の復興活動に奔走したアルピニスト野口健による写真集。ヒマラヤに特別な想いを抱く著者が、ヒマラヤの自然と、ネパールの人々の姿を生き生きと描く。世界最高峰と名高いヒマラヤの美しい風景だけでなく、そこで生きる人々の暮らしぶり、そして2015年の震災後の混乱の様子など、心を動かされる一瞬が鮮やかに写し取られている。
4『エヴェレスト 神々の山嶺』
- エヴェレスト登頂をテーマにした山岳小説の代表作。エヴェレストという過酷な環境に立ち向かう力を与えるものは何なのか。平山秀幸監督により映画化され、岡田准一、阿部寛、尾野真千子らが出演。地震が発生する直前の2015年4月中旬に収録を終え、カトマンズの被災前の様子も収められている。
5『OKバジ―村人の魂に魅せられ、ネパールの山奥に住みついたひとりの日本人』
- ネパールの人々の人柄に魅せられて、ネパールの村に住み続け、地道な支援を行う著者の想いとその活動、そして村に住む人々の様子が生き生きと描かれている。支援者と被支援者ではない、著者と村の人々とのかかわり合いが心を和ませてくれる一冊。
6 映画『世界でいちばん美しい村』
- 2015年に発生したネパール大地震の直後の様子を映し出すドキュメンタリー映画。舞台はカトマンズの北西に位置するグルン族の伝統文化が色濃く残るラプラック村。震災の後、村の人々はさまざまな事情を抱えながら日々を送っていた。震災が村にもたらした影響と共に、その中での人々の何気ない暮らしを垣間見ることができる作品。
7『体制転換期ネパールにおける「包摂」の諸相: 言説政治・社会実践・生活世界』
- 多様な民族が共存するネパールの社会はどのように維持されているのか。ネパールの成り立ちや、民族間の関係、多元的な政治の様相など、ネパールの社会的な構成やその葛藤を知る事ができる一冊。特に、憲法制定のプロセスや、ネパールのアイデンティティポリティクスなどの記述が興味深い。
マオイスト運動に主導された民主化や、2015年に起きた大地震など、近年激動の歴史を歩んできたネパール。一方で、日本に最も馴染みの深い国の一つでもあります。ぜひ、本や映画をきっかけとして、ネパールへの関心を深めていただければ幸いです。
【選書・書籍紹介】シャンティ国際ボランティア会 広報担当インターン
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