今秋難民キャンプから日本社会へ
新年1月4日の朝のNHKニュースで、以下のような報道があったのはご存知でしょうか。
ちょっと長いですが引用します。
難民の日本定住へ準備本格化
母国での迫害を逃れ、タイの難民キャンプで暮らすミャンマー難民の受け入れを、ことしから始めるのを前に、日本政府は、来月にも現地で希望者の面接を行うなど、受け入れに向けた準備を本格化させることにしています。
日本は、紛争などによる迫害を逃れて別の国で暮らす難民を受け入れる「第三国定住」と呼ばれる政策を、ことしからアジアの国では初めて実施することを決めています。対象となるのは、タイの難民キャンプで暮らすミャンマーの少数民族で、日本政府は来月にも現地に担当者を派遣し、日本での定住を希望する難民の面接を行うことにしています。
外務省によりますと、面接では、犯罪歴の有無や新しい生活に適応できるかどうかなどを調べ、複数の家族であわせて30人程度を選ぶ予定だということです。日本への受け入れは秋になる見込みで、政府は、入国後の半年間、難民に日本語や生活習慣などの研修を行う団体を選ぶなど、受け入れ準備を本格化させることにしています。
外務省人権人道課の志野光子課長は「世界に1000万人以上いる難民を少しでも助けようという人道目的の政策で、日本の役割が期待されている。本国に帰れない難民を隣人として迎えるよう、日本の社会全体に協力を呼びかけたい」と話しています。 (記事終わり)
「伝統儀式をやってくれる人っているかな」
「日本語で勉強するってどんな感じだろう」
この記事をもう少し説明すると、SVAが活動する7つのミャンマー難民キャンプのうち、メーソット事務所から一番近いメラ・キャンプ(人口約4万人)の定住希望者を2月に現地で面接するということです。
そして、審査に通った方々がキャンプ内で日本語研修や健康診断を受け、やがて秋には揃って来日するのです。日本国内ではどんな団体がどの街で最初に受入れるのかはわかりませんが、日本政府は今年、来年、再来年と各30名計90名の受入れを表明しています。
今回は、その第一陣受入れに関する重要な報道だと言えます。
参考:内閣官房HP http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nanmin/081219kettei.html
「このごはんと食べ方がおいしいんだよね」
「水場のおしゃべりもよい思い出になりそう」
1970年末から1990年代にかけて、日本は1万人以上のインドシナ難民を受入れました。
現在は、「条約難民」という枠で日本国内で難民申請中の人たちの定住を認めているのみです。しかし、審査に非常に時間がかかる上、承認される数も決して多くはありません。難民申請をしたまま入国管理センターに収容されているケースも多くあります。
したがって、今回のミャンマー難民の第三国定住受入れは、日本の難民政策における転換点とも言えます。
参考:外務省HP http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/gaiko/nanmin/main3.html#2-4
「裸足でゴムとびできるかな」
「図書館にカレン語の本があったらいいな」
SVAはこのプロセスに直接関与しているわけではありませんが、彼らが長年暮らしてきた難民キャンプで活動する唯一の日本NGOでもあります。彼らの第二の人生が平和で、楽しく、実り多いものになるよう応援する立場から、彼らの日本定住の動向はしっかり見守っていきたいと思います。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 小野 豪大
(写真はすべて渋谷敦志さんの作品。キャプションは小野が彼らの「心の声」を勝手に代弁してみました。)