「葉っぱ屋根」のルーツは国内避難民キャンプ
こんにちは。ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の小野です。
このブログでも時々掲載している難民キャンプの風景。
こんな葉っぱを何十枚も組み合わせた屋根材が目に付いた方もいらっしゃると思います。
これはチーク系の葉っぱを朝の湿った時にひろい集めて、
一枚一枚丁寧に重ねて薄く割いた竹で同じ大きさに組み合わせたものです。
昼間の落ち葉は、強い日差しでパリパリに乾いて、すぐ割れてしまうとか。
私は当初「きっと予算に限りがあるからキャンプでは安い屋根材を支給されているのだ」と思っていました。
しかし、実は北タイや隣国のカレン州を中心に比較的ポピュラーな建築材料なのです。
メラマルアン・メラウキャンプに比較的近い、メーサムレップという国境の町から、
サルウィン川を1時間半北に行くと、こんな風景があります。
実は、ここは対岸のミャンマー(ビルマ)領。更にその奥に広がっているのは、国内避難民キャンプ。
「屋根材」のルーツはここだったのです。
私たちは、ふだん14万人のタイに流出した難民キャンプの人々のことを紹介していますが、実はミャンマー(ビルマ)国内には、戦乱や迫害を逃れて自分の土地を追われた人たちがなんと45万人もいるのです。
その一部はこうした「避難村」で助け合いながらひっそりと生活しています。
この「葉っぱ屋根材」はやはりこのキャンプにとって重要な貿易アイテムでした。
彼らの取引単位は100シート180B。原材料はほとんどかかっていないとは言え、
葉っぱをひろって並べ、竹を使ってシートにする手間を考えると何とも納得できません。
国連やNGOなどの国際支援がほとんどない彼らにとって、現金収入は死活問題です。
また、家の床下には、立派な丸太から作った薪がびっしり。
難民キャンプでは支給される炭がここでは手に入らないので、
雨季に入る前には、この作業が重要なのだとか。
自然資源を利用して苦しいながらも、たくましく生きる国内避難民キャンプの人々がいる一方で、キャンプの外で働くことは許されず、食糧援助も次第に削減される 難民キャンプの人々。
どちらが豊かなのか、人間らしいのか、とても考えさせられます。ミャンマー(ビルマ)の民主化に伴い、難民帰還が話題になる今日。
対岸にも(さらに奥の奥にも!)こうした国内避難民が存在することも忘れたくないものです。
小野