2013.05.06
読み物

難民キャンプの新体制

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

ハラゲー!(カレン語でこんにちは!)
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の菊池です。

これまで3回、NGO海外研修生の皆さんにブログを書いて頂いたので、久々の投稿となりました。

タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の難民キャンプでは、2~3月にかけて、7ヶ所のカレン族系難民キャンプを統括しているカレン難民委員会(Karen Refugee Committee)のメンバー、そして各難民キャンプの中のキャンプ委員会(難民による自治組織。難民キャンプの運営や社会サービスを担っている)のメンバーの選挙が開催されました。この選挙は3年に1度開催されています。下記の写真は、選挙候補者の紹介ポスターです。

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難民キャンプでは、ミャンマー(ビルマ)国内の情勢の変化を受け、国際機関やNGOと共に難民の自主的帰還の準備について話し合われています。これまで第三国定住制度を通して、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプから多くの難民を受け入れてきたアメリカが、今年の6月をもって、集団定住の受け入れ申請を終了することになりました。この後、この第三国定住制度が下火になってくることが想定されており、今まで以上に帰還に向けた準備が進められることになります。一方で、難民キャンプの中からは第三国定住を希望する人、ミャンマー(ビルマ)政府を信用できず、帰りたくないという人の声もまだまだ聞こえてきている状況があり、今後難民キャンプ委員会では新しい体制の中で、様々な選択が迫られている難民キャンプの舵取りをしていくことになります。

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難民キャンプのコミュニティ図書館でも、今年からカレン難民委員会の教育部会、そして各キャンプ委員会の教育部会との協力関係が強化され、新しい体制で活動をしています。4月には、各難民キャンプの図書館事業関係者が参加する、「図書館機能の運営に関する合同研修会」をメラマルアン難民キャンプで開催しました。既存の難民キャンプでの社会サービスの向上に加え、帰還の可能性や第三国定住も視野に入れて、将来的に図書館についての知識や技術を活かしていけるように、図書館事業関係者の能力強化を目的としています。4日間の研修の中で、SVAの歴史や、EFAの考え方、ファシリテーションスキル研修、図書館規則の確認、図書館モニタリング方法や報告書の作成の仕方の確認、様々な道具を使っての読み聞かせの練習などを行いました。参加者は、それぞれ国境沿いの様々な地域から参加しましたが、寝食を共にしながら、図書館の運営の仕方について話し合う中で、強い絆が生まれたようです。

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様々な選択を迫られているときだからこそ、コミュニティ図書館は常にそこにあって、活動を通して、難民キャンプの人々を励まし、必要な情報を提供していきたいと話し合いました。図書館サービスの1つ1つを改善していくことはもちろんですが、参加者全員が一丸となって、現状に立ち向かっていく気持ちができたことが、大きな収穫になりました。今後も新しい体制の中で、さらにキャンプの人々に寄り添って活動していけるようにスタッフ全員で努力していきたいと思います。

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 菊池礼乃