2015.12.17
読み物

ミャンマー(ビルマ)難民の2015年

スタッフの声
ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

こんにちは。ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の菊池です。

今年も残り2週間となりました。今年2015年は、タイ国境に暮らす難民にとって、これまで以上に具体的に将来の選択を考える1年になりました。

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2015年はミャンマー国内では、政治的転換点を迎え、10月には2013年から話し合われてきた全国停戦協定にカレン族系を含む一部の少数民族勢力が先行して調印し、さらに11月には総選挙が行われ、アウンサンスーチー氏率いるNLDが大勝しました。この出来事は、タイ国境のキャンプ内に暮らす難民の帰還へ向けた準備という観点では、もちろん今後の政治状況にもよりますが、帰還を促す要素になるかもしれません。

ちょうどミャンマーでの総選挙を終えた11月中旬に各難民キャンプを訪問し、キャンプ委員会や住民の方々と話す機会がありましたので、全土停戦協定、総選挙を終えた難民キャンプの人々の反応をご紹介します。

● 総選挙で、NLDが優勢だと知った。ただし、25%は軍の議席になる。本当に国が変わるのか、状況を見ないといけない。本当に国が変わるならば、ミャンマーに戻ろうと思う。

● NLDが勝ったことは嬉しく思うが、国軍の動きを見ないといけない。難民キャンプの多くの人は、まだ状況を懐疑的に見ていると思う。とにかく、しばらく様子を見る必要がある。自分たちが将来的に戻るかどうかは、私たちのリーダーの意見を待ちたい。

● 難民キャンプの中には様々な人がいて、ミャンマーの政治に関心がある人もいれば、その日暮らしで精いっぱいの人々もいる。

● まだ政府を信用できない。歴史がそれを物語っている。人々は心の奥底でそう感じている。

● 全土停戦協定があったが、まだこの停戦プロセスを十分に信用できていない。しばらく状況を見る必要がある。

● もし私たちのリーダーがミャンマーに帰ったら、住民の中には帰る人も出てくるだろう。この判断は、各難民の自主的な判断によるものだ。今のところ、タイ政府やミャンマー政府からは帰還についてのアナウンスは何もない。

このような意見がありましたが、現時点では、慎重に状況を見たいという声が圧倒的に多かったです。

タイ側難民キャンプでは、2012年から帰還準備に向けた話し合いが行われてきましたが、2015年はこれまで以上に難民自身によるイニシアティブの下、帰還準備が進められました。具体的には、カレン難民委員会や難民キャンプのリーダーを中心に帰還候補地を視察し、そこでの生計手段も彼ら自身で確認してきました。ある難民キャンプでは、住民による帰還候補地の視察も可能になり、難民キャンプとミャンマー側カレン州の行き来が増えています。難民キャンプによって少し状況は異なりますが、特に南の難民キャンプからこのような動きが出てきています。

一方で、同じ2015年、これまで20年、30年と難民キャンプに留まり、キャンプ運営の代表をしてきた多くの人々が、将来の選択を迫られる中で第三国定住を決意し、アメリカやオーストラリアへと渡っていきました。キャンプ運営の代表だけでなく、これまで長年将来の選択に悩んできた人々が決断し、難民キャンプを離れていきました。その中には、長くコミュニティ図書館を支えてくださった方々もいます。今年は、全体で約6000人が第三国へ出発します。現在も第三国定住を希望する難民は多く、その資格を持つ人々は次々と第三国定住している状況です。難民キャンプを巡る環境の変化の中で、人々は将来の選択をし、次へ進もうとしています。

難民キャンプの中では、年々国際支援が減少し、食糧配給量、調理用の木炭配給量の削減、その他社会サービスが少なくなってきています。また、NGOもいくつかの事務所が閉鎖し、事業の規模も縮小傾向にあります。このような状況の中で、難民キャンプでは、若者の非行、自殺者の増加など、様々な課題がこの数年で顕在化してきました。来年2月にはカレン難民委員会、4月には各難民キャンプの委員会の選挙が予定されており、難民キャンプ運営の代表も入れ替わります。難民キャンプ全体の運営は帰還に向けた動きもあり難しい局面に来ていますが、難民キャンプをリードしていく人々が新しくなって、この難しい局面での決断をしていくことになります。

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難民キャンプの委員会や住民、コミュニティ図書館関係者と話をする中で、どの難民キャンプでも言われたことがありました。

それは、「私たちがミャンマーのカレン州に戻ったら、コミュニティ図書館を建てたいと思うから、是非手伝ってほしい。」中には、「難民キャンプの図書館よりも大きな図書館を建てたいと思っている!」という方もいらっしゃいました。

難民キャンプを巡る環境が刻々と変化する中で、人々の期待や不安も一層大きくなっていると思いますが、図書館がコミュニティの中に必要だと思っている方々がたくさんいらっしゃることに、私自身励まされる思いになりますし、スタッフ一同、これまで15年間の事業の中で培ってきた経験、知識、技術をキャンプの人々にしっかり伝えていきたいと思っています。

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2016年もどうぞよろしくお願い致します! 来年も頑張るぞ~!!!オ~!!!

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ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 菊池