2017.10.17
読み物

第四回「図書館にいる人びと」

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
人びとの声
図書館

こんにちは。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の「図書館にいる人びと」第四回をお届けします。
今回ご紹介するのは、キャンプでの研修会開催時にちょうど図書館に本を探しに訪れた男性、キャンプで図書館員として働いている女性、そして大勢の子どもたちが隣の部屋で歌やグループゲームをする中で黙々と読書に励んでいた男性です。

英文の投稿は、事務所Facebookページでご覧いただけます。

●「図書館にいる人びと」のストーリー
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「この場所に移り住んでから、私はいつもここに本を読みに来ます。ここには10年近く暮らしています。2008年からです。
私は今、58歳です。家族と一緒に住んでおり、子どもが3人います。一人は学校に行き、一人は病院で働き、そしてもう一人は先生をしています。
私はいつも読書をしに図書館に来ます。なぜかって?それは、私たちは本を読むことでより多くの知識を得られるからです。本からは、さまざまな情報を知ることができます。ニュースが届いたら私たちはたくさんの情報を得ることができるのです。もちろん、他の多くの人にも役に立っていますよ」
―2017年7月、バンドンヤン難民キャンプにて


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「私は1980年に生まれました。2007年か2008年ごろに、難民キャンプに移ってきました。そしてキャンプで働いています。キャンプで暮らす人びとはキャンプ内で働くことを私に勧めてきました。さらには、図書館で働くことを勧められたのです。
図書館の仕事は協力が欠かせません。これまで図書館で2年間、働きました。図書館活動に協力する中で、私たちは子どもや大人に多くの本を借りるように奨励しています。また子どもたちに向けては、読み聞かせを行い、ゲームやお絵かき、歌を歌うなどの活動をしています。私たちは子どもたちが楽しんでいて、大勢で図書館に来る様子を見ています。活動を実施する度に、彼らはとても喜んでいます。図書館活動への参加を呼びかける度に、彼らは『活動を楽しんでいるよ』と声をかけてくれます。
そして大人への図書の貸し出しに関しても、皆、さまざまな本を気に入っているようです。雑誌や、小説などいろいろな種類の本です。そのうちの何人かは、図書館に来ては『何か新しい本は届いていませんか?』と尋ねてきます。ですので、彼らは新しい本をとても読みたいのでしょうね」
―2017年8月、メラ難民キャンプにて


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「私はラングーン(ヤンゴン)で薬学部を卒業しました。その後、薬学の教鞭もとりました。今は新しい世界の秩序についての本を書くために、歴史や社会科学、人類学を学んでいます。ですので、今読みたいものは歴史の本やテクノロジーの雑誌です。私は未来学を勉強しているところなのです。この図書館は自分にとって有益で、とても役に立ちます。そして、私は新しい世界秩序についての本を書く準備をしています。
2010年にラングーン(ヤンゴン)からここに来ましたが、私は政治犯でもありました。ですので、ビルマ政府は好きではありません。独裁政権です。そのため、私は国境を越えてラングーン(ヤンゴン)を離れました。
今、私はビルマに戻りたくありません。なぜなら、私は政府を信用しないからです。私たちの政府はいまだ2008年の憲法の下にあります。この法は軍事独裁政権のものです。そのため、私は政府を信用していません。戻りたくありません。新しい国に第三国定住したいと思っています。私たちはいつも、ビルマを、そしてその政府を、恐れています。」
―2017年8月、メラ難民キャンプにて


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私はキャンプを訪れた際に、図書館にいる人びとへのインタビューをする機会を見つけて、お話を聞いているのですが、カレン語を話すことができない私にとって、現地スタッフの協力が欠かせません。ときに英語を話すことのできる図書館利用者に出会った際には、自ら話を聞くことができるのですが、そのような機会はあまり多いとは言えません。
そして、今回最初に紹介した男性は、カレン語ではありますが、その中でもポーカレン語の話者でした。カレン語はスゴーカレン語とポーカレン語という2種類に大きく分けることができますが、事務所の現地職員は皆、スゴーカレン語を話します。キャンプにもよりますが、多くがスゴーカレン語を使っているようです。
例えば、最近教えてもらったのは、ポーカレン語で、ごはん(お米)は「ミー」といいますが、スゴーカレン語では「メー」といいます。なので、皆がよく言う「ごはんを食べる」は、ポーカレン語では「オメー」といい、スゴーカレン語では「オンミー」(のような発音)となります。
幸いにも、スゴーカレン語の話者とポーカレン語の話者はお互いにある程度は理解しあえるようであり、無事、ポーカレン語を話す図書館利用者の方のお話を聞くことができました。

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の活動へのサポート、誠にありがとうございます。
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どうぞよろしくお願いいたします。

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 田村