カンボジアの国獣 コープレイ
世界の国々はそれぞれ、国のアイデンティティとなる動物である「国獣」を持っています。カンボジアを代表する動物は、コープレイと呼ばれる野生の牛です。今回は、このコープレイを紹介します。
コープレイが国獣として選ばれたのは、この動物がカンボジアにおいて非常に貴重な種であるからとされています。1964年、国王であるノロドム・シアヌーク国王により、コープレイがカンボジアの国獣となることが公布され、コープレイの狩猟を禁止する法律が発布されました。コープレイは、東南アジア全土で絶滅の危機に瀕している希少種です。カンボジア国内では、シェムリアップ州、オッドーミンチェイ州、プレアビヒア州、モンドルキリ州、ラタナキリ州、ストゥントレン州などに広がる森林には残っているかもしれないと考えられています。しかし残念なことに、ここ30~40年の間にコープレイの存在は二度と見られなくなり、少数のみ生存しているか絶滅してしまったと考えられています。
概要
コープレイは、野生の水牛ほどの大きさの大型動物です。オスのコープレイの体高は2メートル、平均体重は900キロにもなります。コープレイの体色には、灰色、暗褐色、黒色などがあります。オスもメスも角がありますが、オスのコープレイの角は1メートル近くあり、上向きに湾曲しており、3歳頃からその形成が始まります。鼻は獅子鼻(獅子頭の鼻のように、低くて先が上をむき小鼻の開いた鼻)で、長い尾があります。
生活
コープレイは木々が生い茂る低地に住み、草や植物を主食としています。暗いところを好み、夜は野原で草を食み、昼間は木の下で草を食んで生活しています。通常、子牛を含めて20頭ほどの群れで生活しています。
繁殖
コープレイは通常、夏に繁殖を開始します。メスの妊娠期間は8カ月から9カ月間で、一度に1頭しか子どもを産みません。出産間近になると群れを離れて深い森で出産し、子牛が生後1ヵ月になると群れに戻ります。
プノンペン事務所 総務/コーディネーター ソフィアビー