2015.01.09
読み物

ラオス事務所から新年のご挨拶

ラオス

サバイディーピーマイ(あけましておめでとうございます)。

ラオス事務所の加瀬貴です。

2015年のラオス事務所は、昨年度に引き続き、ラオスの農村僻地での展開を軸に事業を実施してまいります。

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事業対象地のルアンパバーン県ヴィエンカム郡

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川を渡るシャンティの車両。乾季は車で、雨季は徒歩で川を渡るときもあります。

シャンティが得意とする図書館活動、学校建設活動に加えて、教員養成活動を実施し、農村僻地で奮闘する教員の皆さんへの支援を拡充してまいります。

ラオスでは、現在、初等教育の純就学率は全国平均で約97%である一方、小学校に入学しても卒業できない児童が、全国平均で約30%、県によっては約半分が卒業できない状況です。

また、約9,000校の小学校のうち、約30%が不完全校(1年生~5年生までの初等教育全学年を実施できない学校)であり、約33,000クラスのうち、約30%のクラスは複式学級クラスです(教育省2012-13年統計)。

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2学年複式学級。児童で満杯の教室

事業対象地では、約60%のクラスが複式学級クラスです。これは全国平均の2倍です。

他方、ヴィエンチャン首都では5%弱が複式学級クラスであること、そして首都の児童の92%が小学校を無事に卒業できていることを考えると、都市と農村地域における教育の質には、大きな格差があると言わざるをえません。

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パックラオ村の子どもたち。山が遊び場です。

事業対象地で出会う現場教員のみなさんとの様々な意見交換では、皆さんがたくさんの苦悩に直面していることを、日々実感しています。

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教員のみなさんとの話し合い。時に白熱することも。

教員の皆さんは言います。「私ひとりで3学年を受け持っている。授業中は児童が絶えず騒いでおり、授業を児童に集中して受けさせることがとても難しい」、「授業を決められた時間内で終わらせることができない」、「授業中に自分が何をどう教えているか混乱してしまうこともある」、「子どもは大好きだけど、学年が異なる50人の子どもを一度に相手にして授業をすることは、本当に大変だ」。

日々、教育現場の最前に立ち、たくさんの苦悩を抱えながら、奮闘している教員のみなさんがそこにはいます。

そんな皆さんの少しでも助けになりたいと研修会や移動図書館活動、そして学校建設を行っています。

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研修会でのグループワーク

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模擬授業の観察を行う教員の皆さん

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読み聞かせを行う教員

「移動図書館活動に参加して、児童が読み聞かせに集中しているのを感じてうれしくなった。続けていきたい」、「複式学級の研修会を受けたのは初めて。他の教員といっしょに指導案を考えたり、模擬授業を行ったり、観察したりするのは自分の指導法を見直す上で、とても勉強になった」、「新しい校舎は隣のクラス児童の声が聞こえないので、静かで授業に集中できる」とのうれしい声を聞くことも増えてきたように感じます。

また、教育省を筆頭とする、教育行政官にたくさんの学びをいただき、そして助けられながら事業を行っています。

「シャンティの事業をモデルにするために頑張ろう」と熱く語ってくれる教育スポーツ省教員教育局の方、「研修ガイドブックを作成したけど、もう少し訂正したいから、もう少し時間が欲しい」と締切ギリギリまで粘る県教員養成学校の教官、「シャンティの研修会で行うプレゼン内容を良くしたいから、残業してるんだ」といってくれた郡教育事務所の若手職員。

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熱弁をふるう、教育スポーツ省職員

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郡教育事務所職員から研修修了証書を受けとる誇らしげな教員

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モニタリングに行くと、教員のみなさんで昼食を準備してくれます。

私たちは、ラオスの教育発展のために活動を行っていても、たくさんの方々に支えられながらの事業実施であることを実感する毎日です。それは、シャンティの「共に生き、共に学ぶ」ことの大切さをラオスの皆さんが教えてくれる毎日です。

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放課後に学ぶ子ども。この子の夢をかなえたいと思う瞬間でした。

地方農村の子どもたちが少しでも「将来を選択できる社会」を生きることができることを願い、その思いを胸に、2015年度も引き続き、草の根の活動を地道に実施してまいりたいと思います。

ラオスで頑張り、そして奮闘するすべての人びとへ、皆様の変わらぬご支援、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

ラオス事務所 所長

加瀬貴