2017.06.13
読み物

アヒルの水かき ~より良い支援をするために~

ラオス

サバイディー(こんにちは)!
ラオス事務所の山室です。

日頃より、日本の皆様からたくさんのエールとご支援を頂いています。
本当にありがとうございます。

皆様からのご支援はどのように現地の人たちに届いているでしょうか。

個人的な意見ですが、NGOである私たち、つまり支援の実行側がその報告をするとき、「支援した」という事実・実績・成果ばかりアピールしているのではないか、と立ち止まる瞬間があります。つまり、そこに至るまでの「調整」という部分をあまり伝えていないのではないかと。。。

もちろん、私たちは黒子的な存在ですし、決して支援の主役ではないので、あえてこの調整の部分を伝える必要はないのかもしれません。

しかし、「本当に役に立つ支援」になるように、誰がどんなことをしているのかを伝える機会があってもいいのではないか、とも思うのです。

では、ラオス事業で現地事務所が大まかに何をやっているかというと・・・

ニーズ調査を行なって、
受益者となる人たちの声を拾って、
調査した結果を分析をして、
事務所内外で議論を重ねて、
行政や関係者と交渉を重ねて、
予算とにらめっこして、
一番適していると思われる活動実施の方法を決めて、
資料準備や日程調整、道路状況の確認などをして、
いざ活動を実行して、
その後のモニタリングをして課題や発見を洗い出して、
それに対する解決策や様々なアイデアをフィードバックして、
フォローアップをかけて、更なる改善につなげていく

・・・こんな感じで日々の業務にあたっています。

会議の様子

会議の様子

さらに言うと、ラオスの場合は、何を行なうにも公式文書で行政から許可をもらう必要があり、絵本出版の場合も関係省庁による検閲があります。ですので、こまごまとした事務作業も多く生じます。

教育現場から上がる声、ラオスの教育行政や外務省からの要求、日本からの提案や要望、シャンティとして取り組みたいこと、予算やキャパシティの範囲、など、様々な側面から、時には相容れない事態が生じます。

そんなとき、いつも現地側で矢面に立つのはラオス人職員です。

ラオス事務所の職員たち

ラオス社会の様々な制限の中で、教育行政官や教員や村人らと議論と交渉を重ねて、同じベクトルで目標に向かって歩んでいくようにすることは、容易ではないこともあります。「より良い支援」ができるように、尽力する姿には本当に頭が下がります。

支援を実行する私たちは、支援におけるプロセスを大事にしています。オーナーシップをもって取り組むことでシャンティがいなくなった後も、事業を通して得たことが続き、発展していくことと信じているからです。だから、アヒルの水かきのように、見えないところで皆が頑張るのです。

「支援」は力を添えるだけのこと。ただそれだけのことです。
でも、そこには「本当に役に立つ支援」になるように、現地人職員がたくさんの努力と調整をしている、ということを含めて、日本の皆様にはこれからも応援していただきたいと思っています。

~最後に~
私事ですが、東京事務所への異動が決まり、ラオスを離れることになりました。
いつもこのブログを通してラオスでの出来事をお伝えして参りましたが、私からの発信は今回が最後となります。現地のこと、活動のこと、頑張っている人たちのことをもっと知って頂きたい!という思いでこれまでやってきましたが、これからは舞台を日本に移して伝えていけたらと思います。引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

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ラオス事務所 山室仁子

※写真掲載絵本
「くわずにょうぼう」福音館書店
「なにをたべてきたの?」佼成出版社