2022.03.22
事務局長の思い

すべての難民、避難民の方々への平等な受け入れ支援を

アフガニスタン
事務局長の思い
緊急人道支援

ロシアによるウクライナ侵攻により、ウクライナの方々が祖国を追われ、隣国に避難せざるを得ない状況が連日報道されています。多くの子どもたちが国境付近で避難する際に保護者と生き別れとなり、人身売買のリスクに晒されているといった報告もあり胸が痛みます。一刻も早い停戦を求めます。

シャンティの活動の原点は難民支援であり、紛争後の人々の支援、復興支援に今日まで40年以上携わってきました。これだけの時間が経過しても今尚残る紛争の傷跡を日々の活動の中で感じている立場から、この数日間の戦争がもたらした悲劇はこれから何十年も続くことが予想され、紛争が長期化すればするほど平和な社会を取り戻すために膨大な時間を要するようになることを懸念しています。

一刻も早い停戦を求めます。また、紛争に追われた人々を庇護することは、国際社会の義務です。日に日に増えるウクライナの避難民の方々が安全に生活できる場が1日でも早く確保されるよう、できる限りの支援に取り組むべきだと思っています。ウクライナ避難民に対して、日本政府が国内への受け入れ表明をいち早く決定したことは日本の避難民支援において大きな一歩であり、個人、企業の方々の支援の動きには感銘するものがあります。

しかしながら、そういった積極的支援の裏側で取り残されているのがアフガニスタンからの退避者です。今回の対応の違いを比較してみました。

今年の1月末時点で日本に退避しているアフガニスタン人は500人以上を越えました。そのほとんどが、日本と何らかの関係がある方々です。国を追われ、命の危険があり、安全に生活する場所がない方々への支援は、人種、国籍に関係なく対応されるべきではないでしょうか。

アフガニスタンからの受け入れ人数を大幅に広げるということではなく、せめて身元保証があり、日本への退避を希望する方々への手を差し伸べて欲しいと切に願います。

アフガニスタン退避者に関わるあらゆる支援者、受け入れに関わる関係者をネットワーキングしている組織「アフガニスタン退避者コンソーシアム(AFA)」(シャンティも参画)では、日本に来られた退避者の方々の概況調査を実施しました。

 

こちらよりご参照ください。

 

来日後の不安を抱える人のほか、残してきた家族を何とか助けたいという声もまだまだ聴かれます。日本で自立して生活していくためには、公的な支援だけではなく、民間の支援も必要だと考えています。AFAでは関心のある個人、企業、団体の方々と、支援を必要とする人たちをつなげる支援も行っています。

ご関心がある方は、下記ウェブサイトをご覧ください。

アフガニスタン退避者コンソーシアム(AFA

アフガニスタン退避者の受け入れにあたっては、取り巻く環境がより複雑であるという点が受け入れを難しくしているのかもしれません。しかし、そもそも「難民」とされる人の背景は、紛争、複雑な国、社会事情から生じており、長期化すればするほどより複雑になります。だからこそ、より個々人の直面するリスクが高まる可能性もあります。今も恐怖の中で助けを求める声が上がっています。アフガニスタン難民は、長い間国際社会に忘れられてきました。再び、彼らを忘れることのないよう支援をしていくことが、平和な社会の構築につながっていくと信じています。

AFAでは、緊急相談会を開催しています。日本での定住への不安や残してきた家族の退避などの相談が寄せられています。

シャンティでは、アフガニスタン国内における避難民支援、紛争によって困窮生活を強いられる人々への支援、そして紛争がおこらない社会の構築を目指して、2021年からアフガニスタンにおける教育支援を行っています。また、かつての紛争国である、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ネパールといった国々での支援活動も、相互理解と顔の見える支援を大切にしながら継続して取り組んでいます。全ては、紛争や、紛争によって昌実「報復のサイクル」を終わりにし、シャンティ(平和)な社会を実現するためです。

日本国内での受け入れ支援も、先々の平和な社会の実現に向けて重要な支援であり、人種や国籍など関係なく、平等な受け入れ支援がなされることを願っています。