2022.10.10

ミャンマーの伝統衣装「ロンジー」を徹底解説!

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ミャンマー

皆さん、こんにちは。ミャンマー事務所のエピュです。本日はミャンマーの伝統衣装であるロンジーの魅力を徹底解説します。

世界のどの国にも、それぞれの文化、伝統、服装があります。そのどれを見ても、個性的で、歴史があり、それぞれの形で相手へ敬意を示しています。服装に目を向けると、優雅なもの、美しいもの、色鮮やかなものなど、様々ありますが、そのどれもが目を惹きつけるものがあります。ミャンマーも例外ではなく、独自の文化や伝統的な服装があります。

ミャンマーの伝統的な服装は、活気ある文化と温かいおもてなしの心を表しており、シンプルだけど親しみやすさが反映されています。よく知られているのがロンジーという足首まである巻きスカートで、男女問わず履かれています。ロンジーはバガン王朝時代に生まれましたが、現代のようなロンジーはイギリス植民地時代に普及しました。ロンジーはユニセックスな服装と思われがちですが、実は男性用と女性用で違いがあるのです。

男性の服装はロンジーに白シャツ

男性用のロンジーは「パソ」と呼ばれ、機能性、快適性、通気性に優れた、長さ2m、幅80cmの一枚の布からできています。前面の左右に折り目をつけて、おへそ下の腰の部分で結んで着用します。ペソは一般的に黒、茶色、紺などの暗めの色にストライプやチェックの柄が施されています。ペソには上下、裏表がなく、生地は綿がほとんどですが、シルクのものもあります。
パソの柄やデザイン
(写真:パソの柄やデザイン)

トップスには、正式には西洋のシャツのようなボタンダウンの襟付き白シャツとロンジーを着用します。この場合、シャツは長袖でも半袖でも構いません。職場などではその上に、「タイポンエインジー」と呼ばれるジャケットを着ます。ですが、最近はカジュアルな服装になり、色や柄に関わりなく、ポロシャツやTシャツと一緒にロンジーを着用するのが一般的です。
パソとシャツを着用しているシャンティスタッフ
(写真:パソとシャツを着用しているシャンティスタッフ)

女性の服装はロンジーにブラウス

女性用のロンジーは「タメイン」と呼ばれ、左側に折って、真ん中から腰に巻いて着用します。タメインの上部には、「アテシン」と呼ばれる、幅5インチほどの無地の黒い帯状の布が縫い付けられています。アテシンのおかげでロンジーをしっかりと固定でき、ロンジーがずれることはありません。タメインの生地は綿、シルク、レース、ベルベットなど様々素材のものが揃っており、鮮やかでカラフルな柄が豊富にあります。
タメインの柄やデザイン
(写真:タメインの柄やデザイン)

女性用のトップスには、「エインジー」と呼ばれる腰まであるブラウスを着用します。その中にも2種類あり、前にボタンがある「インジ・ブラウス」と横にボタンがある「インボン・ブラウス」です。フォーマルな場や宗教に関する場ではショールを羽織るのが一般的です。最近では、Vネックやスクエアネック、襟付き、バックボタンのブラウスなど様々なスタイルのものがあります。また、カジュアルなスタイルとして、Tシャツにロンジーを合わせることもあります。
タメインとTシャツを着用しているシャンティスタッフ
(写真:タメインとブラウスを着用しているシャンティスタッフ)

特別な日には特別なロンジー

現在でも結婚式など特別な日には、伝統的な衣装を身に付けることを誇りとしています。結婚式には男性は「ガングバング」と呼ばれる頭飾り、長袖の襟の詰まったシャツ、「タウンシャイロンジー」や「タイポンエインジー」と呼ばれるシルクのロンジーを着用します。女性は、「タインマテイン」というボタンのないぴったりとした腰丈の上着、ショール、「ヤエザナー」と呼ばれる短いトレーンのように裾を引きずるロンジーを着用します。ロンジーはシルクにビーズやクリスタル、スパンコールの刺繍で装飾したものが一般的です。新郎、新婦ともにベルベットの履物を履きます。ビルマ族の結婚式では、黄色、白、ピンクなど明るい色を使うことが多く、結婚式の衣装は普段着よりも華やかです。

民族毎に特徴のあるロンジー

ミャンマーは多民族国家であり、ロンジーのデザインも各民族によって特徴があります。どの民族のロンジーも美しく、色鮮やかでユニークなデザインです。最近ではどの民族の織物や柄も豊富で人気です。例えば、カチン、カヤー、カイン、チン、モン、ラカイン、シャン、など様々な民族のロンジーがあります。その他にも、バティックや日本の着物のように海外の生地を使ってロンジーを作ることもあります。
民族毎のロンジーの柄
(写真:民族毎に異なるロンジーの柄)

人気なロンジーの柄

ミャンマーで人気なロンジーの柄は「アチェイク」や「ルンタヤ・アチェイク」と呼ばれるものです。横縞の帯に織り込まれた複雑な波が特徴で、唐草模様が施されています。前世紀では手織りだったため高価でしたが、現在は機械で生産されるようになり求めやすくなりました。ですが、今も手織りのアチェイク柄は高価で、女性たちから人気です。このような古典的なデザインのロンジーは特別な日や宗教的なイベントに参加する時に着用されます。
アチェイク柄
(写真:人気のアチェイク柄)

ロンジーの手織り工房は、主にアマラプーラ、ザガイン、マンダレー、ワンドウィンやミャンマー上部にあります。シャンティの事業対象地の一つであるシュエダウンもその内の1つで、「インマロンジー」と呼ばれるカジュアルで着心地が良いと有名なロンジーの手織り工房があります。
インマロンジー(女性用)
(写真:女性用のインマロンジー)
インマロンジー(男性用)
(写真:男性用のインマロンジー)

現在でもロンジーが人気な理由

ロンジーの着こなすミャンマーの象徴的な人物といえば、アウンサンスーチー氏です。彼女はいつもシンプルで上質なロンジーにショールを羽織っていました。多くのビルマ族の女性たちが彼女に憧れ、彼女のスタイルを真似していました。そのため、近年ではロンジーが人気で、社会人から学生まで制服としてロンジーを着用していました。

どんなに現代的な服装が流行ったとしても、ミャンマーの人々は伝統的な服装を大切にしています。特別な日だけでなく、家事をするとき、農作業をするとき、バイクに乗るとき、仕事に行くとき、スポーツをするときでさえ、日常的に伝統的な服装を身に付けています。
ロンジーは快適で動きやすい服装です。ミャンマーの暑い天候にも合い、着ることで安全でエレガントであるように感じます。だからこそ、どの年代もロンジーを身に付けることが大好きで、ミャンマーの特徴的な文化の一つだと言えます。
ロンジーを着たSVAスタッフ
(写真:ロンジーを着用して通勤するシャンティスタッフ達)

ミャンマーを訪れる観光客の皆さんには、ぜひロンジーを着て素敵な体験をしていただきたいと思います。ロンジーは、有名なヤンゴンのボージョーアウンサンマーケットや他の市場、露店でも購入でき、ご家族や友人へのお土産としてもぴったりですよ。

ミャンマー事務所 エピュ