2020.11.11
読み物

【寄稿】国際協力の道(中山雅之)

ニュースレター
人びとの声
連載企画

年4回発行しているニュースレター「シャンティ」に寄稿いただいたシャンティと深く関わりのある方からの記事をご紹介します。

シャンティ国際ボランティア会 監事
中山雅之 国士舘大学大学院グローバルアジア研究科 准教授

草創期の国際協力

国際協力が発明されてからおよそ160年。アンリ・デュナンによる赤十字国際委員会の前身・五人委員会の結成が、現在の国際交流の一つの源流と考えられます。
その後現在のNGOが創り出されたのが100年前、第一次世界大戦後に英国でセーブ・ザ・チルドレンが、第二次大戦後にOxfam(1942)や日本も大いに支援を受けたCARE(1945)が設立され、民間による国際協力が始まりました。
政府による国際協力は1944年に国際通貨基金と国際復興開発銀行(世銀)の設立が合意されたことからで、1948年の欧州復興計画や英国のコロンボプラン(1950)と続きます。これらの行きつく先に南北問題への対応として、国連開発の10年が1961年から始まり、慈善型や技術移転型また参加型などと考え方も変遷し、現在に至っています。

日本における国際協力の成り立ち

日本での国際協力の源流の一つは1877年の西南戦争時の博愛社で、NGOは1938年発足のJOCS。
その後、戦後復興の支援を受けていたのが、支援をする側となってゆき、1970年代後半からのインドシナ難民支援の時代となり、シャンティの設立もこの頃。
1980年代の経済成長のさなかには、外資系NGOも日本のマーケットに参画してきました。1990年代は大きな震災と特定非営利活動促進法が施行されたこと、また企業経営の手法やIT技術を活用して活動を行う組織の参画などで新たな国際協力の担い手が数多く誕生しました。

国際協力の今とこれから

このように多くのNGOの設立や、グローバル化が進む中で身近な存在になった海外により、かつては希少であった国際協力は大衆化時代にあるともいえます。
この状況で登場してきたのが、ソーシャルイノベーションです。ここには成熟化した市場を抱える企業、NGO以外の非営利組織もアクターとして参画し、SDGsを掲げ協働を目指しています。
シャンティも地球市民事業課を新たに創設し、社会のニーズに合わせて組織に新しい風を吹き込んでいます。国際協力のこの先は、どのように変化するのか。変化する者のみが新たな道を歩めるのかもしれません。

中山雅之
2019年3月撮影(筆者)

 

本寄稿記事とニュースレターについて

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.301(2019年夏号)」に掲載した巻末言「道」の内容を元に再編集したものです。※ニュースレター「シャンティ」は年4回発行し、会員、アジアの図書館サポーターに最新号を郵送でお届けしています。

シャンティは、子どもたちへ学びの場を届け、必要としている人たちへ教育文化支援を届けています。引き続き、必要な人へ必要な支援を届けられるよう、月々1,000円から継続的に寄付してくださるアジアの図書館サポーターを募集しています。