2026.03.23
読み物

NGO職員の研修

スタッフの声

皆さん、こんにちは。
東京事務所、事業サポート課の猪又です。

今日は先日私が受講させていただいた国際協力NGOで働く職員向けの研修についてお伝えしようと思います。

多くの国際協力のNGOと同様、シャンティも限られた資金と人員で運営されており、人材の育成に時間をかけるのはなかなか難しい現実があります。けれどもそのような課題に対応するべく、近年外務省やJICA、ネットワークNGOなどが、NGO向けの研修プログラムを支援・実施してくださっています。

私が今回参加させていただいたのはNGO安全管理イニシアティブ(以下、JaNISS)主催のファーストエイド研修(中級)です。途上国を想定したファーストエイドを実技訓練で習得するもので、日本とは違う環境(救急車が来ない、充分な医療設備がない等)で支援活動をするNGO職員のためにアレンジされた対面研修となっていました。

事前にe-Learningでなかなかボリュームのあるリアルな動画を視聴。傷病者評価、止血、心肺蘇生法を広く学び、医療用英語も少し覚えて準備をしました。2日前に受信した持ち物についてメールには、「動きやすい服装 ※血のりを使用しますので、汚れても良い服装でお越しいただくか、お着替えをご持参ください。」 とあり、少し緊張して当日を迎えました。

会場は日本体育大学健志台キャンパス。東京に雪が積もった数日後でまだ寒い日でしたが、朝からグラウンドでトレーニングしている学生さんがたくさんいました。研修には25名くらいの国際協力や災害支援のNGOスタッフが集まりました。講師は救急医療学科の先生ですが、たくさんの同学科の学生さんが指導員になってくださり、参加者1-2名に対して1人の指導員がつく手厚い体制です。会場には救急車やストレッチャー、心肺蘇生訓練人形がたくさん並べられ、なかなかな非日常的な空間でした。

研修会場にて

午前中は、まずグループに分かれて実際に基本的な傷病者評価や止血、心肺蘇生を動画や座学と共に実技で学んでいきます。最初は心肺蘇生です。胸骨圧迫を訓練人形に交代で行い、AEDの使い方も学びます。強度や圧迫やリズムなどiPadで後から確認をして、どのグループも何とか90点以上獲得することができました。次に怪我人になってくれる学生さんに傷病者評価をしていきます。意識や呼吸、出血などをそれぞれ確認しながらグループ内で情報を共有します。迅速な判断と観察が求められますが、実際に倒れている怪我人(のふりをしてくれている学生さん)を前にすると、遠慮をしたり、焦ってしまいます。何度かフィードバックを頂き、やり直すうちにやっと合格をもらいました。その後は止血や搬送の実技です。包帯やターニケットを使用しての止血、一人で傷病者を搬送する、複数人で搬送する、毛布を使って搬送するなど、様々な方法を学びました。

午後はもう一度グループ分けを行い、トランシーバーを渡され、教室の外や360度カメラを使いながら、実際に事故や災害を再現したシナリオ別に、それぞれ研修を進めます。

①支援物資を配給する際に爆発があった
②支援地移動中に交通事故にあった
③支援候補地訪問で銃撃にあった
④本部で各地から連絡を受け、それぞれ医療機関に(英語で)搬送依頼をする 等々

よく練られたシナリオもそうですが、学生さんたちのリアルな演技力にも感嘆。うめき声をあげたり、意識をなくしたり、脈をなくしたり(?)、さらには寒いのに血のりまみれで外で倒れていてくれた学生さんたちを相手に(感心している間もなく)チームで手分けをして、評価、止血、報告、搬送依頼等をします。現場の状況確認、自分の身の安全の確保、トリアージ。時間との戦いもあり、判断が難しい場面が何度もありましたが、これもフィードバックをもらって同じシナリオを反復して行うことによって、改善できる機会があったのは良かったです。

シナリオで用いた地図

盛りだくさんで丸一日かけてのファーストエイド研修。本当はここで学んだ知識や対応を活用する場面に遭遇しないことが理想です。けれども残念ながら世界はますます不透明感に包まれており、いつどこでどんな自然災害や紛争に巻き込まれるかわからない時代になってきました。実際、私が昔駐在していた東南アジアの国はテロや交通事故も多くあり、安否確認を求められる機会も多くありました。海外、特に途上国では日本にいるよりもファーストエイドの知識が必要になる場面が多いと思います。遭遇したくはありませんが、もし何かあったら焦らずにこの研修で学んだことを自分のできる範囲で行動にうつせたらと思います。このような貴重な研修の機会を頂き、関係する皆様に感謝申し上げます。

最後に1人の学生さんから聞いたお話が印象的でした。
福島出身のその学生さんは東日本大震災で被災をして、救急救命士を目指すようになったそうです。決して起きてほしくない災害や紛争ですが、それを経験したからこそ、自然災害や防災にかかわる仕事を目指したその学生さんのキラキラした瞳に、勇気づけられ、エネルギーをもらって帰路につきました。

事業サポート課 猪又佐奈江