オンラインイベント「国際協力の現場から」Vol.2 コロナ禍のミャンマーから 開催報告
皆さんこんにちは、事業サポート課の松本です。
7月18日(土)14時から「国際協力の現場から」Vol.2 ~コロナ禍のミャンマーから~と題しまして、ミャンマーの様子をお伝えするイベントを開催いたしましたので、簡単にご報告させていただきます。
今回は初の試みとして、絵本シール貼りのオンラインワークショップを取り入れた2部制で実施しました。
第一部ではミャンマー事務所事業調整員の伊藤、ヤンゴン事務所のヤンナイ、ピー事務所のハニーの3名が登壇し、コロナがミャンマーの子どもたちに与える影響をお話ししました。第二部では、絵本に翻訳シールを貼るワークショップを行い、途中ハニーとヤンナイによるビルマ語での絵本読み聞かせやビルマ語講座などを入れつつ、盛りだくさんな2時間となりました。
それでは、簡単にイベントの内容を振り返りたいと思います。
登壇者プロフィール
ヤンナイ (ミャンマー ヤンゴン事務所 コーディネーター)
2016年にシャンティに入職。大学卒業後、ミャンマーの民間企業で勤務。ミャンマーとタイの国境地帯で教師として働いた経験も持つ。
ハニー(ミャンマー ピー事務所 コーディネーター)
2016年にシャンティに入職。ヤンゴンの大学卒業後、地元に貢献できる仕事がしたいという思いからシャンティへ入職を決意。
伊藤杏子(シャンティ・ミャンマー事務所 事業調整員)
2015年にシャンティに入職。ITメーカー勤務からイギリスの大学院卒業を経て2015年にシャンティ東京事務所に事業サポート課として入職。その後、2017年から現職。
コロナ禍のミャンマーでの生活
ミャンマーでは2020年3月11日のWHOによるパンデミック宣言後、ミャンマー政府による厳格なコロナ対策が開始されました。5人以上の集会や会議が規制されるなど行動制限が行われ、ミャンマーで有名なお祭り、水かけ祭も中止されました。
人々の不安は都市部のヤンゴンだけではなく、比較的規模が小さいピー県でも同様に広がっています。ピー県では、小学校の夏休み期間中の3月から5月にかけて多く行われていた子どもたちの出家を控える動きや、レストランがテイクアウトのみの営業になるなどの影響ができいます。街では手洗い場が設置されたり、手洗いやステイホームを推奨するサインボードがあちこちに設置されました。
現在、政府による規制は緩和されつつあります。ですが、ミャンマーはこれから雨季に突入します。雨季はデング熱など様々な感染症が流行する時期であり、人々は気が抜けない生活を余儀なくされています。また、日雇いの仕事をしている人は生きていくお金を稼ぐため、行動制限が発令されていたとしても働くことをやめるわけにはいきません。
コロナ禍の学校教育
ミャンマーでは3月から5月が夏季休暇で通常は6月から学校が始まります。しかし、コロナにより現在も休校中で、8月から順次再開されると言われています。
ミャンマーの教育省はテレビを使って教育チャンネルを放送するなど、新たな取り組みを始めています。しかし、授業時間が減り、子どもたちの学習機会が減少することは明らかです。また、コロナにより職を失うなどして困窮してしまった家庭では、学校にかかる費用を払えなくなったり、子どもたちが労働力とみなされることもあり、子どもたちが以前と同じように学校に通えるのか、という懸念もあります。
コロナ禍のシャンティの事業
小学校への移動図書館活動や会議の中止、ミャンマー事務所の在宅勤務開始など様々な課題に直面しました。しかし、このような状況下でもシャンティとして何ができるのかを模索し次の活動を行いました。
- ・オンライン会議の開催
- ・マスクやサニタイザーの配布
- ・オンライン読み聞かせ動画の作成
他団体や公共図書館と協力しながら、読み聞かせ動画を作成し、YouTubeで公開しています。ぜひご覧ください。
これからのチャレンジ
コロナにより計画通りに進まないことや活動内容を変更せざるを得ないことが多く発生し、よりクリエイティブになっていく必要があると感じます。また、今後オンラインを活用した活動を進めていく際には、通信環境が整っていない地域の子どもたちへのアプローチ方法を検討する必要があります。ですが、オンラインを活用した活動は、今までの活動地だけではなく、より多くの地域へリーチできる可能性も秘めいています。
ハニー、ヤンナイからのメッセージ
現在、ミャンマーでは子どもたちへの教育環境を発展させている最中です。絵本や紙芝居は子どもたちの成長、ひいては国の発展につながります。ミャンマーにとっての希望である子どもたちへ、ご支援を引き続きよろしくお願いいたします。
以上がプレゼンテーションの内容でした。
当日の沢山の質問をいただきました。質疑応答の内容はYouTubeでご覧いただけます。
「国際協力の現場から」Vol.2 コロナ禍のミャンマーから – YouTube
(45分ごろから質疑応答タイムが始まります)
続いてはコンテンツが盛りだくさんとなった絵本ワークショップの様子もお伝えします。
絵本ワークショップ
まず、司会の鈴木からシール貼りの手順についてご説明しました。その後は、もくもくと各自貼る作業に入ります。随時質問を受付し、きりの良いところでQA回答タイムに入りました。
この時間にもたくさんのご質問をいただきました。少しだけご紹介したいと思います。
Q:絵本を届ける運動を行う前と後で子どもたちにどのような変化がありましたか?
A:(ハニーが回答)日本から届いた絵本は小学校へ届けています。ミャンマーには良質な絵本があまりないため、絵本が到着すると子どもたちはいつも興奮しています。あまりにも絵本がきれいなので、時々絵本に触ることすらためらう子どももいます。そのような場合には、学校の先生や図書館の職員が触ってよいこと、たくさん読んでよいことを伝えています。
Q:絵本の最後にある名前シール(翻訳シールを貼ってくださった方のお名前をビルマ語で書くスペース)は、子どもたちは気づいてくれますか?
A:(伊藤が回答)はい、子どもたちは絵本を1ページ1ページ見逃すまいと、とても丁寧に読むことが多いです。ですので、名前シールにも気づいています。時々、日本人のお名前を呼んで、「これはなあに?」と質問されることもあります。
また、参加者の方からビルマ語で読み聞かせを聞かせてほしい、というリクエストもあり、急遽ハニーが読み聞かせを披露してくれました。
続いて、お待ちかねのビルマ語講座に移りました。参加者の方から2名のお名前を、ハニーとヤンナイに実際に書いてもらいました。
ラ行を含むお名前を書いてもらったのですが、ビルマ語ではラ行を表現することが難しく少し苦戦しているようでした。
その後、話題はミャンマーに駐在員の伊藤のビルマ語習得(残念ながら、伊藤はビルマ語習得に挫折したようです、、、)に移り、ハニーとヤンナイが流ちょうな日本語で挨拶も披露してくれました。
参加いただいた皆さんには、本日のプレゼンテーションから学びや気づきを、絵本のワークショップからは楽しさやつながりを感じていただけますと、とても嬉しいです。
事業サポート課 松本