【翻訳絵本づくりワークショップ開催報告】岡山市の小中学生の皆さまにつくっていただきました
突然ですが、「うったて」という言葉をご存じでしょうか。
うったてとは、起筆を表す岡山の言葉です。文脈により目的なども指すそうです。
岡山市で開催している翻訳絵本づくりワークショップのうったては、市内の子どもたちに国際協力の機会を提供することです。
2025年7月27日(日)に、岡山市文学賞運営委員会主催による翻訳絵本づくりワークショップ「アジアの子どもたちに絵本を届けよう!」が、岡山県立図書館で開催されました。
岡山市でのワークショップは、今年で3回目になります。27日は、午前と午後にそれぞれ開催し、合計で80人ほどの子どもたちが参加しました。担当の方から今年もたくさんの応募があり人気のワークショップになっていることを伺い、とてもうれしく、有難く思います。

ワークショップ当日は暑い日でしたが、午前と午後のワークショップ共に、たくさんの子どもたち、ご家族や保護者の方たちにお集まりいただきました。ワークショップに参加してくれたのは、市内の小中学生、保護者の方たちです。小学3年生以下の子どもたちには、保護者の方と一緒に翻訳絵本をつくっていただきました。

ワークショップでは、シャンティ職員からアジアの国々での教育文化支援についてご紹介し、翻訳絵本が届く先の国や地域での子どもたちの様子についてお話ししました。

文字が読めないとどうなるかクイズをしながらお話ししました。続いて、シャンティが子ども向けに編集した映像「トーくんの図書館」を見てもらいました。難民キャンプで暮らす小学生の男の子が図書館でどのように絵本を読んでいるかを紹介している映像です。難民キャンプが設立された背景や、囲われていて外に出られない難民キャンプの生活について、知っていただけたように思います。

そして、翻訳絵本づくりを行いました。
翻訳絵本のつくり方と、現地語でお名前を書いてもらうことについて説明しました。まずは、絵本を読んでもらいます。絵本を読み終わったら、翻訳絵本づくりを開始していただきました。
翻訳シールは、黒い枠線が残らないように慎重にハサミで切り取り、日本語の上に翻訳シールをあてて貼り付けてもらいました。保護者の方に翻訳シールを切りとってもらい、お子さまが翻訳シールを貼り付けるという風に分担していただきながら、翻訳絵本づくりをお楽しみいただきました。

全ての翻訳シールを貼り終えたら、最後に翻訳絵本の裏表紙にあるお名前シールに、日本語と現地の言葉で自分の名前を書いてもらいます。
完成した翻訳絵本を持ってきてくれ子どもたちに、つくっていただいた御礼を伝えながら、ボランティア参加証明書をお渡ししました。

参加した方からいただいた感想をご紹介します。
子どもの声
・はるところがたのしかったです。カレン語でなまえをかくのがたのしかったです。
・異国の地の人のことをしれて、学校の学習ではできないことをいっぱいしれた。
・途中であったクイズがおもしろかったです!シールをはるのもむずかしかったけど、完成したときのうれしさやたっせい感がよかった。
・ミャンマーのことを学ぶことができて楽しかったです。
ぜんぜん知らなかったことも学べて勉強になった。本にシールをはってミャンマーの人がよめるようにするのもたのしかった。
・なんみんの生活がよく分かった。来年もきたいです。
・ビルマ語の字がふしぎ。
ミャンマーのみんなによんでほしいからきれいに作った。
ミャンマーのみんなにも「ルラルさんのだいくしごと」をよんでほしい。
はるのがむずかしかった。
・外国での本の大切さが分かりました。
とどいて本を読んでもらうと思うと人の役に立てた気がしてとてもうれしいです。
・上手にできたから、たくさん読んでもらいたい!!!
・たくさんの世界の子供達に日本の本を読んでもらいたいと思いました。
保護者の声
・各国の子どもたちの様子や絵本の大切さなど子どもの心に残ったと思います。心を込めて作った絵本を届けるというプロセスも素敵だと思いました。
・最後まで一人でやり切ってよくがんばっていました。今日のことをずっとおばえていてくれて、いつか思い出してくれたらと思います。
・絵本を送る国について知り、考える機会となりました。自分が作った本が、本当に現地の誰かの手に渡ると考えると、今までぼんやりしていたアジアの問題がより現実的に感じられ心に響きました。良いイベントをありがとうございました。
・3年連続このような形で社会貢献できることに感謝します。絵本のおかげで子どもたちはたくさんの力がつきました。娘の将来の夢・目標は「現地での読みきかせ」です。たくさんのきっかけをつくっていただいたこの企画に本当に感謝です。
・自分たちが作業した本が、海を渡って遠い国の子供たちに読んで頂けると思うと、とても夢のある企画で参加できて良かったと思います。又、日常的に本を読めるという自分たちの生活にも感謝しなければならないと子供たちに伝えることができたのも良かったです。

あたたかいご感想をお寄せいただき、ありがとうございました!
「文学創造都市おかやま」
2023年10月、岡山市は「ユネスコ創造都市ネットワーク・文学分野」に日本で初めて加盟しました。この小中学生を対象とした翻訳絵本づくりワークショップは、国際協力の一環として岡山市文学賞運営員会が企画、参加費を助成し、市内の子どもたちに国際協力の機会を提供しています。
今回つくっていただいた絵本は、下記の6タイトルです。来年2月に、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプに向けて、日本を出発する予定です。
『てぶくろ』 絵:エウゲーニー・M・ラチョフ、訳:うちだ りさこ 福音館書店
『ルラルさんのだいくしごと』 作:いとうひろし ポプラ社
『ワンガリの平和の木』 作:ジャネット・ウィンター、訳:福本友美子 BL出版
『ぼくとクッキーのなかなおり』 作・絵:かさいまり ひさかたチャイルド
『ぼくのぱん わたしのぱん』 文:神沢利子 絵:林明子 福音館書店
『ねずみくん おおきくなったら なにになる?』作:なかえよしを、絵:上野紀子 ポプラ社
絵本を通して、アジアの子どもたちとのつながりを感じていただいたように思いました。
今年もたくさんの小中学生の皆さま、保護者の皆さまにご参加いただき、ありがとうございました。
(広報・リレーションズ課 吉田)
「絵本を届ける運動」では引き続き皆さまからのお申込み(https://ehontodokeru.shop-pro.jp/)を受け付けております。
今年18,137冊を目標に活動地へ届ける翻訳絵本を集めておりますが、目標まであと2,000冊ほど足りておりません。
ぜひご家族で翻訳絵本づくりにご参加ください!


