【翻訳絵本づくりワークショップ開催報告】西興部村でミャンマーの文化に触れる翻訳絵本づくりワークショップを開催しました
2025年9月13日(土)に、西興部村教育委員会社会教育講座で、翻訳絵本づくりワークショップを開催しました。
北海道西興部村の人口は約950人、近年はミャンマーやベトナムなどからやってきた外国の方たちが村に住み、村内の施設や工場で働いています。村で暮らす外国の人たちとの接点はなく、これまで村の人たちが交流する機会はあまりなかったそうです。村の人たちが絵本を通して外国の人とつながり、その人たちの国や文化を知るきっかけとして、一般社団法人集落自立化支援センターが企画し、翻訳絵本づくりワークショップの開催が実現しました。
ワークショップは、西興部村公民館の視聴覚室を会場として行われました。今回はミャンマーに焦点をあて、村で暮らすミャンマーの方2名にお越しいただきました。子どもたちを含む16名の方にご参加いただき、ビルマ語の翻訳絵本づくりを行いました。シャンティの職員も東京から会場にお伺いしました。
ミャンマーの文化に触れる翻訳絵本づくりの様子をご紹介いたします!
同じ村で暮らすミャンマーの方と一緒にビルマ語の翻訳絵本づくり
最初に、シャンティ職員から活動について紹介しました。今回のテーマであるミャンマーについて、現在の状況や取り組んできた活動についてお話ししました。お子さまにも真剣に聞いていただきました。
ミャンマーの学校の教室の写真を投影し、シャンティの職員が「みなさんが通う学校の教室と比べてどこが違いますか?」と質問したところ、参加しているお子さまから「教室が大きくて、たくさんの生徒がいる」、「机が、一人1台ずつではない」などたくさんの回答をいただきました。大きな部屋で複数の学年が一緒に勉強している学校もあること、机は長机に生徒が3人並んで座り勉強している場合もあることを伝えました。ミャンマーのお二人が通っていた学校では生徒一人につき1台ずつ机がありましたとお話しいただき、都市部と農村部で学校の状況に違いがあることも話されました。参加者の方たちは、ミャンマーでの学校の様子と自分たちが通う教室の様子を思い浮かべながら、違いを感じ取っている様子でした。
続いて、ミャンマーのお二人にビルマ語と日本語で絵本の読み聞かせをしていただきました。タイトルは『あつい あつい』(福音館書店)です。お一人の方にビルマ語で、もう一人の方に日本語で、交互に読み聞かせをしていただきました。お二人は日本語が堪能ですが、事前に読み聞かせの練習をしてくれていたそうです。ビルマ語の音に触れた参加者からは、「やさしい響きだね」など感想を教えてくれました。
その後に、シャンティ職員から翻訳絵本のつくり方の説明をして、いよいよビルマ語の翻訳絵本づくりを行っていただきました。つくっていただいたタイトルは、『あつい あつい』(福音館書店)と『おおきくなったら、なんになる?』(NHK出版)です。
お子さまたちが翻訳絵本のつくり方をしっかり聞いてくれて、丁寧にシールを切り取り絵本に張り付けていただきました。
ミャンマーのお二人にも翻訳絵本をつくっていただきました。
翻訳絵本づくりの時間には、ミャンマーの音楽をBGMとして流しました。お二人のおすすめのミャンマーポップスや伝統楽器、竪琴の曲などを聞きながら翻訳絵本づくりを行っていただきました。
翻訳シールを貼り終えた後は、ビルマ語でお名前を書いていただきました。ミャンマーのお二人がビルマ語の書き方を参加者一人ひとりに丁寧に教えてくれました。ビルマ語は「〇」がきれいに書けることが重要ということも教えてくれました。
初めてビルマ語の文字を書いた参加者からは、「形がかわいい、これが文字だとは思えません」、「ビルマ語を書くのがむずかしかったです」などの感想が共有されました。参加者が初めて触れる文字を、ミャンマーのお二人が書き順を含め丁寧に教えてくれました。
そしてお名前シールだけではなく、今回は特別にビルマ語で名前をしおりに書きお土産にしていただきました。ミャンマーのお二人が「あなたのお名前は?」と尋ねてビルマ語で名前を書いていきました。
今回ご参加いただいたミャンマーの方から、ワークショップの感想を書いていただきました。
「みんなが優しくて、笑顔があふれて楽しかったです。みんなにビルマ語で名前の書き方を教えたことが、楽しかったですし、嬉しかったです」と書いてあるそうです。ワークショップでは、ミャンマーのお二人にたくさんのご協力をいただきました。ありがとうございました!
ご参加いただいた方にご感想をご記入いただきました。一部抜粋してご紹介させていただきます。
・参加できて、楽しかったです。ミャンマーや他の国のこと、最近は知ろうとすることを忘れていたので、アンテナを張っていきたいと思いました。ミャンマーのお二人からの絵本を読む時間よかったです。楽しい時間でした。ありがとうございました。
・ミャンマーという国がどこにあって、どんな国なのかも全く知りませんでした。1日も早く平和になって、子どもたちが、日本の子どもと同じように身近に絵本が読めるようになればいいなと思いました。初めて聴いたミャンマーの言葉、ビルマ語。優しいビルマ語は柔らかい音でとてもキレイな音楽のようでした。本物のビルマ語で私の名前を教えてもらえたことが嬉しかったです。ミャンマーのお二人に会えて嬉しかったです。貴重な体験ができました。来年、私のつくった絵本をミャンマーの子どもたちが喜んで読んでくれたら嬉しいな。
・べつのくにのじをしることができてとてもたのしかった。ことばをかくことができておもしろかったです。
あいうえお表を見ながら、ビルマ語でありがとうなどのメッセージもご記入いただきました!
今回参加した子どもたちや大人の方が、ミャンマーの方と村で会ったときには、きっとこの日のワークショップのことを話してくれるのだろうと想像しています。「絵本を届ける運動」を通して、日本から遠く離れたミャンマーのことや、同じ村に暮らす外国の人のことを知るきっかけになれば私たちも嬉しく思います。
今回皆さまにつくっていただいたビルマ語の翻訳絵本は、来年2月に船便に載せてミャンマーあるいはミャンマー(ビルマ)難民キャンプに輸送予定です。現地に届いた後は、コミュニティ図書館や学校図書館、移動図書館に配架され、現地の子どもたちが絵本を開いて読みます。
ご参加いただいた皆さま、このワークショップを企画してくださった一般社団法人集落自立化支援センターの皆さま、誠にありがとうございました!
◆2025年度の「絵本を届ける運動」の申込はこちらからご覧ください。
◆ワークショップについてのお問合せはこちらより、ぜひお待ちしております。
シャンティ国際ボランティア会 「絵本を届ける運動」担当
<写真の絵本>
『あつい あつい』作:垂石眞子 福音館書店
『おおきくなったら、なんになる?』著:刀根里衣 NHK出版
『おおきなかぶ』再話:A・トルストイ、訳:内田莉莎子、画:佐藤忠良 福音館書店
『きんぎょがにげた』作:五味太郎 福音館書店