シャンティがミャンマーで行ってきたこと
こんにちは、事業サポート課の松本です。
本日は混乱が続くミャンマーで、シャンティがこれまで行ってきた活動をご紹介します。
現在、ミャンマーでは2021年2月1日の軍事クーデターを受けて市民の間で市民不服従運動(CDM)が広まり、軍や警察による弾圧により死者数が200人を超えるなど非常に大きな混乱に陥っています。
今回のブログでは、クーデター前のシャンティの活動を通じて、ミャンマーがどんな国なのか、どんな人たちがいるのかを知っていただければと思います。
子どもの読み物=マンガか雑誌?
皆さんが子どもの頃に読んだ本はどんなものがありますか?私の場合、図書館に行ってお気に入りの作家の小説にかじりついていました。今、図書館や本屋に行くと、様々なジャンルの絵本や図鑑、紙芝居、音が鳴る本など、多様な児童図書が揃っています。
ミャンマーでは少し様子が異なります。子どもたちの読書への意欲は日本の私たちと変わりません。しかし、読んでいるものは雑誌やマンガです。
というのも、ミャンマーには絵本自体の数が非常に少ないからです。ミャンマーにある出版関連会社数は1,300を超えていますが、子ども向けの本を出版する会社は17社程度しかなく、数少ない子ども向けの出版物はマンガや雑誌が中心です。
現地の作家らと協力して児童図書を出版
そこでシャンティでは現地での児童図書出版を行っています。この活動では普段は大人向けの小説やイラストを扱っている現地の作家、イラストレーター、編集者と協力して、物語の創作から印刷出版まで行います。
現地の作家らも絵本を作成する経験が少ないため、日本の絵本作家らにも意見を伺いながら、子どもたちが楽しめる絵本を作っています。出版した絵本や紙芝居は無償でミャンマー全土の公共図書館と弊会事業対象の小学校へ配布しています。
下の写真はこれまでにシャンティが現地の作家らと協力して出版した絵本、紙芝居です。
(紙芝居:『ネズミの楽園』2019年出版、『天が与えし3つの季節』2017年出版、『ビニール袋の旅』2018年出版、『アリとオウム』2019年出版、『それぞれの価値』2019年出版)
『アリとオウム』はこちらから読むことができます:世界の絵本を読んでみよう「アリとオウム」ミャンマー
絵本・紙芝居作成の裏側はこちらから読むことができます:子どもたちに興味を持ってもらう「子どもたちのための絵本」ミャンマー
児童図書出版に携わる人々の育成
そして、児童図書を出版するだけでなく一緒に出版活動を行っている作家らの人材育成にも取り組んでおり、年に1度、児童図書出版研修を行っています。講師には日本の絵本作家を招聘し、絵本や紙芝居を作成する際の心構えや技法を教授してもらい、実際に研修中に絵本を作成しています。
数年にわたり同じメンバーで児童図書の出版に携わってきた結果、作家、イラストレーター、編集者、それぞれの立場から、大人の目線ではなく、子どもたちがより楽しめる絵本にするための議論も活発に行われるようになりました。
昨年は新型コロナウイルスの影響により、日本とミャンマーをつないだオンライン研修になりました。※写真撮影のためマスクを外している人もいます。
彼らと一緒に出版した絵本や紙芝居は、混乱が続くミャンマーで不安や恐怖を抱える子どもたちのストレスを緩和し、安らぎを与えてくれるものと信じています。
事業サポート課 松本