2021.02.24
海外での活動

ミャンマー国境から子どもたちの笑顔を守りたい

ミャンマー

日本でも連日大きく報道されていますように、2月1日に国軍によるクーデターが発生し、3週間が過ぎました。軍に対する市民の抗議活動(市民不服従運動:CDM)はこの間、止まることなく続いています。

現在、タイ・ミャンマー国境のカレン州パアンを拠点に教育支援活動を行ってきていますが、ここパアンでも連日決まったルートでデモが行われてきており、教員や学生などの姿も見られるようになってきています。こうした状況下でも周囲を見渡すと、変わらない日々の生活があるように思います。日用品や食材の買出しにいつものお店に行きレジに並ぶと、座っているお母さんが変わらず「ミンガラバー、元気かい?」とミャンマー語で声をかけてくれます。私のミャンマー語レベルもよく分かっているので、簡単な単語のみでの会話です。こうしたいつもと変わらない日常を感じられることに、ほっとする自分がいますが、ミャンマーの人たちにとってはどれほど大切なことだろうと思う日々です。

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ミャンマーでは2020年8月下旬より、新型コロナウィルス第二波が到来し、急速に感染者が拡大していきました。こうした中、事業地に再び入れなくなり、活動の延期や実施方法の変更などの調整に追われる日々が続きました。シャンティは現在、タイ・ミャンマー国境の村でコミュニティー・リソース・センター(CRC)の支援活動を行っています。図書館の機能を持ち、絵本や図書を配架、会議や研修を行うスペース等が備わっている場所です。タイ側の難民キャンプからの帰還民、ミャンマー側の地域に元々暮らす住民、子どもから大人まで全ての年代の人たちへの学びの機会、また生活向上や地域発展に役立つ情報の提供を日常のサービスで行ってきています。人々が集い、交流や対話をする場所としても大切な役割を担うセンターです。コロナ禍で現場に入れない状況が続く中、オンラインツールを活用して、CRC関係者との会議開催など試みました。通信インフラが十分に整備されていない国境地域では、オンラインで研修や会議を行うことは大変な難しさがありますが、接続が可能な場合に時間短縮を図りながら、出来る範囲でやってきています。参加するCRC運営委員会やCRC職員にとっては初めての経験であったため、繋がっても始めるまでに時間を要するといったハプニングもありました。

接続が不安定で声が聞こえにくいため、スピーカー近くでやり取りするスタッフたち

接続が不安定で声が聞こえにくいため、スピーカー近くでやり取りするスタッフたち

レケイコー村で四半期会議でのことです。閉会の挨拶でCRCアドバイザーのパタヤさんがこう言ってくれました。「当初、シャンティが行おうとしている事業は小さいものだと思っていました。でも今は違います。CRCの活動は、特に子どもや若者たちにとって、とても重要だと思っています。帰還民にとってもです。人生で直面する様々な困難を克服するためには、知識や情報が不可欠ですが、私たちには今CRCという場所があり、ここで学び、知識を高めることができます。教育の機会を通じて、地域の発展、強いては国の発展のために是非皆さんと協力していきたい。多くの少数民族のリーダーたちも国に平和をもたらすための努力をしています。私はCRCが国の発展の一助になると確信しており、地域一丸となって頑張って行けたらと思っています。」

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先行きが全く見えない状況にあることは確かです。私たちNGOの活動も今後どうなっていくか分かりません。ですが今私たちに出来ることを精一杯やるしかない、パタヤさんの言葉を思い出し、そう思いました。教育の機会を届け続けること、それが国の平和に繋がり、子どもたちの笑顔を守ることになると信じ、やれることから頑張っていきたいと思います。

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ミャンマー国境支援事業事務所 中原