2020.06.13
海外での活動

ラオスの子どもたちの学びを支える「複式学級運営の手引き」

ラオス

ラオスでは、複式学級において効果的な授業を行うための教授法や教室環境整備、学習指導案などを紹介した手引きを作成中。その舞台ウラをご紹介します。

オモテ舞台

ラオスの小学校の約3割のクラスでは、2学年以上の児童が一つの教室で一人の先生から授業を受ける複式授業が行われています。しかし、多くの教員は複式学級で効果的な授業を行う教授法を知りません。その結果、教員が直接指導を行っていない時間、児童は友達と遊ぶなどして勉強しない場合も多く、学習に支障をきたしています。それらを解消するため、教員が直接指導しない時間を有効活用し、児童が学習過程を途切らせることなく効果的に学べる方法などを紹介した手引きを作成しています。

ラオスものづくり①

舞台の裏側

1.小グループに分かれて構成案について協議

ラオス教育スポーツ省、県教育スポーツ局、教員養成校の教官、シャンティ職員で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、何度も会議を開いて内容について議論しました。また、北海道教育大学に技術指導をいただき、日本で長年用いられている教授法を参考にしましたが、ラオスの教育現場に適応できるように一部変更しています。

ラオスものづくり②

※今回、教材の作成にご協力いただいた北海道教育大学の先生方には、ラオスの複式学級運営の課題解決のために、専門的な立場から様々なアドバイスを頂きながら事業を実施しています。こちらの記事でも、事業の様子を紹介しています。

ラオスの教育課題をともに解決する心強いサポーター

2.過去に作成された資料を吟味

過去にラオスで作成された複式授業に関わる資料をできるだけ集め、それらを吟味して新しい手引きの構成を決定しました。次に教員養成校教官が中心になって各章の執筆を行い、その内容についてチーム全体で確認して修正を入れ、徐々に改定していきました。

ラオスものづくり③

3.研修で学び授業で実践

ドラフト版ができた後に、それを用いて現職教員研修を行いました。研修では初めて学ぶ教授法に戸惑いを見せている教員もいましたが、その後の学校でのモニタリングでは、多くの教員が研修で学んだ指導法を用いて授業を行ってくれていました。

ラオスものづくり④

制作秘話「言葉の壁を越えて理解を深めていきました」

制作にあたって最も困難だったことは、ラオスの人たちとの考え方の違いや言葉のニュアンスの相違により、何度も議論が噛み合わなくなったことです。日本語の資料を参考にし、英語とラオス語で会議を行う中、通訳の解釈の違いなどもあり、こちらの言いたいことが正確に相手に伝わらないことが多々ありました。それでも、時間をかけて少しずつ解決していきました。

ラオスものづくり⑤

*ご紹介した「複式学級運営の手引き」は、国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業により実施、制作されています。

ラオスの複式学級運営をより良いものにしていくために、シャンティはこれまでに、子どもたちの教育に携わる関係者の皆様とともに様々な活動を行なってきました。

詳しくはこちらをご覧ください→「複式学級

「ものづくりの舞台ウラ」から

本記事は、シャンティが発行するニュースレター「シャンティVol.304 (2020年春号)」に掲載した内容を元に再編集したものです。

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