ラオス 山岳地域の教室から ― ラオス語授業の変化とこれから
サバイディ・ピーマイ!(ラオスの新年おめでとうございます。)
ラオスでは毎年4月の中旬(今年は14~16日にかけて)に、「ピーマイ」と呼ばれる新年のお祝いがあります。ピーマイと同時に雨季がやってくるという言い伝えがありますが、今年は例年より早く雨が降り始め、現在は各地で本格的に雨季の到来が感じられます。
さて今回は、3月に実施したラオス語教科の授業のモニタリングについて報告します。このモニタリングは、昨年の11~12月にかけて行った教員研修後の改善状況を確認するものでした。

昨年12月に実施した教員研修の様子

対象校の教員がラオス語の授業を実施している様子
ラオス語教科の授業改善に関連する活動のブログ記事は下記のリンクからご覧いただけます。
教員の授業に着実な変化
今回のモニタリングでは、22の対象校から21名の教員のラオス語の授業を観察しました。観察は、教育スポーツ省や県・郡教育スポーツ局、教員養成校の職員、そして私たちシャンティの職員から構成されるグループで行いました。
観察の結果、すべての評価項目において、研修前と比べて改善が見られました。中でも特に大きな伸びが見られたのが、「授業前の必須教材の準備」です。全体の平均スコアは4点満点中2.20点から2.91点へと向上しました。

教育行政職員を含めたチームが授業観察をしている様子
「ないなら作る」から始まった変化
私たちが対象とするラオスの山岳・へき地にある小学校では、教材や教具が不足していることが大きな課題でした。これまでも教員から「子どもたちの学びを支える教材がほしい」という声が多く挙げられていました。
そこで本事業では、単に物資を提供するのではなく、地域で手に入るものや割と簡単に手に入る素材を使って教材を手作りすることを研修の中で取り上げました。その成果として、教員たちは工夫を凝らした教材を自ら作り、授業の中で活用するようになりました。子どもたちも、より視覚的で分かりやすい教材を通して学ぶことができるようになっています。
また、こうした取り組みは単発ではなく、
- ●ガイドブックを活用した学び合い
- ●授業計画書の作成
- ●授業後の振り返り
- など、教員の継続的な職務開発(CPD:Continuous Professional Development)として行われています。

少数民族児童の理解を促進するために準備した教材を用いて授業を実施している教員

写真からも分かるように教員が時間をかけて教材を作成したことが分かります

少数民族児童が教員が作ったグループワーク用のシートで活動を行っている様子
次に見えてきた課題
一方で、改善が比較的小さかった項目もありました。それは「授業のまとめ」と「評価(振り返り)」です。
ご存じの通り「まとめ」や「評価(振り返り)」は授業の最後に行われるため、時間配分等がうまくいかなかった場合どうしても飛ばしてしまったり時々忘れられたりします。しかし、本時の要点を最後に整理し、子どもたちの理解度を確認することは、次の授業づくりや、より支援が必要な児童を見つけて適切な支援を施すのに欠かせません。
今後は、「まとめ」と「評価(振り返り)」を含めた本モニタリングで見えた課題に重点的を置き、次回の研修等を通じて支援を進めていきます。

児童が課題に取り組んでいる様子
小さな変化を、持続可能な力に
授業観察後には、教育行政職員とともに振り返りを行いました。そこでは、本時の良かった点や上に挙げたような改善が必要な点について話し合いました。特に、ラオス語教科を専門とする教員養成校の職員は、実施にデモンストレーションを行って良い例や改善例を示すことで、教員たちは具体的な改善方法を学ぶ機会を得ています。

振り返り時に教員養成校の職員が教科書の使い方についてデモンストレーションを行っている様子

授業の振り返りの様子(今回は専門家の兵庫県立大学の乾教授にもご参加いただきました)
これからも、山岳・へき地に暮らす少数民族の子どもたちの学びを支える教員たちとともに、教育の質の向上に取り組んでいきます。
ラオス事務所 ブンホン
あとがき
今回のモニタリングでは、多くの教員が以前と比べてより良い授業を展開しましたが、特に印象的だったのは、ある教員の変化です。彼に、今回の授業に至るまでの準備について聞かせてくださいと尋ねたところ、「たくさんの人が自分の授業を見に来るので、時間をかけて準備しました」と語ってくれました。そのために、普段あまり目を通さない教員のためのガイドブックを読み込んだり、授業計画書をしっかりと作りこんだりしたそうです。その結果、彼の観察スコアは大きく向上しました。
教育現場で起きる「変化」のきっかけは様々です。しかし、どんなきっかけであっても、そこに起きた前向きな変化についてはしっかりと肯定し、そしてそんな変化が自立的に継続されていくことを本活動のねらいとしています。私たちはこうした教員一人ひとりの努力が、やがて地域全体の教育の質向上につながると信じています。
この教員のお話を聞いて、授業観察者一同で彼の授業実施に向けた準備と取り組みをめいっぱい褒めました。

時間をかけて作った指導案を基に授業を進める教員の様子
ラオス事務所 喜納 昌貴
本事業は、JICA草の根技術協力事業の助成によって実施しています。


