ラオスの学校で授業中に大雨が降ってきたら
サバイディー(ラオス語でこんにちは)
ラオス事務所の半田です。
先日、ヴィエンカムで行われた研修会についての記事を書きましたが、
実は研修会中に豪雨(途中から雹)と強風に見舞われました。
研修会は、郡教育事務所の近くにある旧校舎で行われていました。
その旧校舎の窓は上記の写真のようになっており、激風に襲われると雨が教室の中に入ってきます。
教室の入口のドアは閉めておいたはずなのですが、風にあおられると
閉めていても勝手に扉が開いてしまい、結果的に床が水浸しの状態に。
屋根は一見しっかりとしているように見えますが、
よく見ると小さな穴が開いています。また、風にあおられると上下に振動していました。
この校舎には電気が通っていたのですが、豪雨の影響で電気の送電もストップしてしまい
結果的に真っ暗になってしまいました。
ラオス人職員は今回のような豪雨は年に1回か2回起こるか起こらないと話しており、
非常に珍しいことと理解しましたが、豪雨の中小学校で過ごすことに少し恐怖を感じました。
大人ですら気がかりになったので、この日学校に行っていた子どもたちは
きっと不安でいっぱいだったことが想像できます。
結局、豪雨は1時間ほどでおさまりました。
幸いにも今回の豪雨でシャンティ職員、今回の研修会に参加した人々やその家族に怪我等はなく
安心したのですが、豪雨の爪痕は大きく、幹線道路は浸水し、木が折れてしまったり、
家の内外の水や泥かきをしたり、屋根の修理をしたりしている人もいました。
私は、この経験から災害に強い校舎の必要性を改めて痛感しました。
国連国際防災戦略事務局(UNSIR)によると、過去20年間、およそ2億5千万人の人々が自然災害の被害を受けていると推定され、そのうち5万3千人が亡くなり、経済的な損失は55億ユーロ(およそ7200億円)と見積もられています。
今後も都市化、気候変動、環境悪化の影響を受けて、脆弱な状況に陥るコミュニティは増えると
予想されています。(※1)
教育に関して述べると、皆さんの記憶にも新しくシャンティも事業をしているネパールでは、2015年に直撃した大地震の影響で2000校を超える学校施設では部分損壊し、5000校以上で被害が見られました。また、2013年にフィリピンを襲った台風により、2500校以上の学校で損傷が見られ、
140万の子どもたちが被害を受けました。(※2)
ラオス国内での洪水・暴風・土砂崩れによる被害を受けた学校数(小学校以外も含む)は、
・2013年- 229校(北部4県、中部3県、南部5県)
・2014年-51校(うち1校は教員養成校。北部4県、中部2県、南部3県)
自然災害による損失額は、
・2013年- 53万7491米ドル(当時のレートでおよそ5300万円)
・2014年- 35万336米ドル(当時のレートでおよそ3700万円)
となっています。(※3)
そこでラオス政府は災害リスク軽減するために、
環境保護法を制定し(2012年)、防災戦略計画(2016-2020年)を発表しました。
教育分野では、教育スポーツ省 財務局施設課(ECDM)と財務省が共同で、
学校建設ガイドライン(2009年)を発表し、
防災対策チームを教育省内に設置することを計画しています。
また、一部の地域では、防災ワークブックが試験的に導入され、防災教育は
今後より活発化していくと思われます。
「防災」という言葉の通り事前の災害を防ぐことで、災害によってもたらされるリスクを軽減することができます。災害の怖さは被害にあった瞬間だけではなく、被害が起こってからも続き、子どもたちの成長に影響を及ぼします。
これからも、シャンティでは身を引きしめて、
安全な学校校舎の建設に取り組んでいきたいと思います。
参考資料
※1 Carvalho, L. and Leitão, N.(2014), The importance of schools in disaster risk reduction
※2 世界銀行 自然災害に強い学校づくりの3ステップ
※3 Laos MoES DM focal point report 2013&2014