2019.07.25
海外での活動

ラオス:子どもが文化の伝え手に

ラオス

こんにちは/サバイディー(ສະບາຍດີ)。
ラオス事務所インターンの木村です。

ルアンパバーンでは、徐々に雨の降る日が多くなり、いよいよ雨季らしくなってきました。いつ雨が降り出すか分からないため、外出時には傘が手離せません。

子ども文化センターを訪問

さて、先週、出張でラオスを訪れていたシャンティ東京事務所職員とともに、ルアンパバーン市内にある子ども文化センター(CCC: Children’s Culture Center)を訪問しました。

※ 子ども文化センター(Children’s Culture Center)(以下、CCC)とは

政府により各県に設置されている、日本でいう児童館のような施設。6歳から18歳までの子どもを対象に、課外活動として絵画や工作、伝統音楽、伝統舞踊などのプログラムが提供されています。会費制ではありますが、公教育でカバーし切れない情操教育の支援や、ラオスの伝統文化の継承などを担う貴重な場です。

ラオスでは50もの民族がともに暮らしているにもかかわらず、公用語はラオス語のみ。少数民族の言語は公用語として認められていません。文字を持たない少数民族では、急激な社会変化により、自文化を残すことが困難になりつつあるほか、子どもたちが自身のルーツや文化を学ぶ機会も減少しています。子どもたちが自身の民族に誇りを持ち、前向きに未来を切り開いていくためにも、言語や文化は大切に引き継いでいかなければなりません。

この日はCCCの子どもたちとOB・OGが一堂に会し、伝統舞踊や歌、ゲームなどを通して交流を深めるイベントが開催されていました。中でも面白かったのは、伝統舞踊の発表。子どもたちの伝統楽器の演奏に合わせ、鮮やかな衣装をまとった子どもたちが様々な踊りを披露してくれました。子どもたちはこの日に向けて練習を重ねてきたというだけあり、どの踊りも見応えがありました。

ラオス・ルアンパバーン市内にある子ども文化センターで開催されたイベント

こちらはラオスの暮らしを表現した踊り。川で魚を獲ったり、コメの収穫をしたりといった様子が表されています。

ラオスの伝統舞踊を踊る子どもたち1

舞踊で川で魚を獲る様子を再現

こちらはラオスの三大民族ラオ族、モン族、カム族の踊り。各ペア左から、タイルー族(ラオ族と同系)、ラオ族、カム族、プータイ族(ラオ族と同系)、モン族です。

ラオスの伝統舞踊を踊る子どもたち2

ラオスの伝統舞踊を披露してくれた子どもたち

踊りを教えたのは…

これらの踊りは、大人が教えたわけではなく、ジュニアリーダーと呼ばれる年上の子どもたちが先生となって、年下の子どもたちに指導したものだそうです。ジュニアリーダーが年下の子どもたちをしっかりまとめて踊りを指導している様子は、それは頼もしかったです。

子ども文化センターでは年長の子どもたちが下の子どもたちを指導しています
(ハンドマイクを持って年下の子どもたちに指示を出すジュニアリーダー)

伝統文化を学ぶだけでなく、子どもたちが自ら考える力を伸ばすこともできる取り組みはとても素晴らしいと感じました。CCCにはすべての子どもが通えるわけではありませんが、このような場の整備は今後ますます重要になってくるように思います。

文化を引き継ぐためのシャンティの取り組み

シャンティでも、子どもたちが読書を通して少数民族の文化について学ぶことができるよう、村人から聞き取った民話の絵本を出版し、小学校やCCC、様々な関係施設に配付しています。

ラオス出版絵本「ヤアンラーン」を読む子どもたち
(CCCで出版絵本「ヤアンラーン」を読む子どもたち)

ラオスで2014年に出版した絵本、カム族に伝わるお話「ヤアンラーン」のあらすじはこちらから

ラオスの教育について考えるうえで、民族、特に少数民族の文化継承は忘れてはならない問題です。わずかでも、ラオスの文化継承に貢献できているのであれば嬉しく思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。

ラオス事務所インターン 木村沙弥香