ロックダウン中のネパール
ネパール事務所長の三宅隆史です。感染者が2名だった3月24日に全土でのロックダウン(外出禁止令、農村部も含まれるので都市封鎖と訳すのはおかしいと思います)をネパール政府は発表しました。理由は医療制度が脆弱なためと、仕事を失った50万人以上の移住労働者が感染者の多い欧米や中東、インドから帰国したためです(移住労働者による送金はネパールの国民総生産の3割を占めています)。今のところ4月27日まで続きますが、国境を接しているインドの感染者が13,626名と急増しているため、再度の延長が見込まれています。
今日でロックダウン25日目ですが、感染者はいまだに16名(PCR検査を受けた7,688人のうち)、死者は0名で、予防的措置であるロックダウンは効果をあげていると言えます。日本の非常事態宣言とは比べ物にならないぐらい厳しく、店舗やレストラン、ホテルは完全に閉店しており、水や食料品、ガスボンベ等生活必需品を売る店だけが朝と夕方2時間空いています。許可証無しに車やバイクで移動する人は逮捕されます。4月15日だけで2,038名が逮捕されました。
仕事を失った都市貧困層が最も打撃を受けています。救急対応しか保健所はできないので62万人の乳児が必須のワクチン接種を受けられないでいます。国境が閉鎖されたインドには帰国を望んでいる2万人のネパール人が国境で足止めされ、野宿を強いられています。学校は3月18日から閉鎖が始まっており4月14日から新学期でしたが、閉鎖が続いています。車が通らないので、カトマンズは世界一悪いと言われている大気汚染が緩和されるのが唯一のメリットです。
現行事業は残念ながら停止していますが、政府からの事業承認と移動許可を得て、医師や保健師に個人防護服・器具などを配布する緊急対応事業を実施しています。