2019.06.20
海外での活動

世界難民の日ー図書館ができて19年ー

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

こんにちは。ミャンマー(ビルマ)難民事務所の山内です。
タイ・ミャンマー(ビルマ)国境では雨季を迎え、連日雨が続いています。先日難民キャンプを訪れた際も、突然のスコールがありました。
近くの民家で少し雨宿りをしていると、周辺の家から子どもたちが次々と外に飛び出してきて、雨水を集めたり、石鹸で体を洗ったりし始めました。まさに「恵みの雨」なのだと実感した瞬間でした。
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さて、少し話は変わりますが、実は本日6月20日は「世界難民の日」になります。世界難民の日に関しては、こちら「6月20日「世界難民の日」メッセージ」をご覧ください。この機会に、今回は難民の人々の今の暮らし、そして図書館活動の19年をお伝えしたいと思います。

難民キャンプ設立から34年、今の暮らしは

私たちの活動するタイ・ミャンマー(ビルマ)国境にある9ヶ所の難民キャンプは、1984年に設立され34年が経過していますが、未だ約9万5千人の人々が暮らしています(UNHCR 2019年5月統計より)。
住居、医療、教育、食糧など基本的な生活が、国際支援により成り立っている環境で人々は暮らしています。
キャンプ内の生活環境がある程度整っていても、キャンプの外に自由に出ることは許可されておらず、仕事の機会は中々ありません。携帯電話の電波が届かないキャンプもあり、キャンプの外を知る機会は限られています。学校を卒業した後、どうすればいいのか・・そのような将来への不安を抱え暮らす青年も少なくありません。
現在は、ミャンマー本国への帰還が始まっていますが、キャンプの中で生まれ育ってきた人々は、新しい場所へ行くことへの不安から、帰還という決断を中々できずにいます。このような環境で人々は今も生活を続けています。

図書館ができて19年

ここに暮らす人々へミャンマー(ビルマ)難民事務所は19年間、図書館運営の支援をしています。
閉鎖的な難民キャンプの環境の中で、図書館はキャンプの外の世界を知る、1つの場所になっています。外の世界を知る以外にも、知識を得る場所、心を休める場所として機能しています。現在は、様々な年代の人々が当たり前のように、図書館を利用していますが、活動を始めた当初は図書館の活動が人々に受け入れられなかったと言います。
活動を始めた当初は、図書館で遊ぶ子どもたちの声がうるさい、子どもは遊ばずに家の手伝いをするべきだ、という考えを持つ大人が多かったとのことです。ですが、図書館に通った後、子どもたちが思いやりを持つようになったり、親の言うことを聞くようになったりと変化があったことで、周りの目もどんどん変わってきたそうです。
今では、図書館を支える図書館委員会がキャンプ内で形成されていて、図書館青年ボランティアがいて、多くの人が図書館に関わろうとしています。難民キャンプの人々にとって必要な居場所となった図書館を、これからも支えていきたいと思います。
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図書館での読み聞かせの様子(使用図書:おおきなかぶ 福音館書店)

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図書館で読み聞かせを楽しむ子どもたちです。

子どもたちが図書館で見せる笑顔が、キャンプが閉じるその日まで続くよう、活動をしていきたいと思います。

ミャンマー(ビルマ)難民事務所 山内