洪水被害からの復興に向けて
こんにちは。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所の菊池です。
日本でも報道されているように、タイではここ50年で最悪といわれる洪水による被害が広がっています。タイ災害予防局の発表では、昨日16日までの約3ヶ月間で300人近い死者が出ており、住民800万人以上が被害を受けているそうです。バンコク中心部では深刻な被害は免れたという報道もありますが、地域によっては、水が1ヶ月は引かないとの見方もあり、まだまだ予断を許さない状況です。隣国のカンボジア、ベトナム、ラオスでも深刻な洪水被害を受けているとのこと。幸い、私たちのオフィスのあるメーソットでは大きな洪水被害は発生していませんが、ニュースから目が離せない日々が続いています
メラウ・メラマルアン難民キャンプでの洪水被害に対して、皆様より温かいご支援をいただいて大変感謝しております9月の最終週に私もメラウ・メラマルアン難民キャンプを訪問し、洪水被害からの復興に向けて少しずつ動き出している様子を見てきました。今日は、その状況をお伝えします
①メラマルアン第3図書館
今回の訪問では、必要な資材(床のビニールシート、塗装用インクなど)や本を運びました。セクション7Aに繋がる橋も修復され、子どもたちを含むキャンプの住民と一緒にこの橋を渡って物資を第3図書館まで運びました。
この第3図書館は9月中旬までには図書館内の泥だし、大規模な掃除が完了しました。今回の訪問では、資材を運び込んだ後、床にビニールシートを敷き、金属の枠だけを残した本棚の塗装を実施、そして、メラマルアンキャンプの他の図書館から集めてきたSVA出版図書約100冊、メーソットで購入、ご寄付頂いたビルマ語の大人用図書約1,000冊の本の登録作業を始めました この洪水で、10年間かけて揃えてきた約7,000冊の本が全滅し、図書館でも落胆の声が広がっていただけに、この本の1冊1冊の手作業での登録にも、自然と希望と期待の気持ちがこもっていきます 図書館で本の登録作業をしているときに、図書館の入口から顔を出す子どもたち、学校の休み時間に本の登録作業や分類を手伝ってくれる子どもたちがたくさんいました 図書館の再開が待ちきれない、という様子で、一生懸命作業を手伝ってくれます。
図書館サービスの再開に向けては、さらなる本の補充、本棚資材調達と作成、図書貸出のための本の分類、ラベル貼り、日本やタイで出版された本についてはカレン語、ビルマ語の翻訳シール作成・貼り付け、図書館ルールに関する掲示物の作成、子どもの部屋、大人の部屋の仕切り作り、など様々な準備が必要になりますが、何とか第1歩を踏み出したように思います。建物以外はゼロからのスタートでしたが、図書館サービスの再開を目指して着実に進み始めています
②メラウ難民キャンプ第1図書館前の道路修繕
メラう難民キャンプ第1図書館前には、キャンプリーダーの家がありましたが、今回の洪水ですべて流されてしまい、現在は図書館前の道路のすぐ隣を川が流れています。道路修繕にあたって準備をしていますが、メラウ難民キャンプまでの道路状況が非常に悪く、資材の運搬が難しいため、まだ修繕に取り掛かれていない状態です。
③メラマルアン難民キャンプでの教育支援:文具の提供
生徒629人への文具(ノート、ペン、消しゴム)をキャンプの教育部会を通して学校に提供し、子どもたちの手に渡りました。子どもたちはこの文具をもって、学校に通い始めています。
④メラマルアン難民キャンプ第9保育園
未だに土台が大きく削られた川岸の建物から移転できておりませんが、キャンプの教育部会が第9保育園の移転先の土地のオーナーと交渉を始めています。移転先が決まり次第、保育園の建設を始めます。SVAからも建設資材の支援を行う予定ですが、キャンプへの道路状況が悪く、未だ物資を運べない状況にあります。
既に書きましたが、ここ数ヶ月の大雨の影響でで、キャンプへの続く道路状況が非常に悪く、SVAだけでなく、他のNGO団体でも何度も車が故障、立ち往生しており、資材の運搬が非常に難しい状況が続いています 今回、キャンプ訪問の帰りには、山道で道路下に転落したトラックを見かけました。必要な物資をキャンプに届けるためにも、早く道路状況が改善することを願うばかりです。
着実に復興に向けて進んでおりますが、まだ図書館の本や備品、資材が不足しています。皆様には引き続きご支援いただけますと幸いです。 詳細はこちら⇒http://sva.or.jp/myanmar/mrml/
また、タイ全土で洪水被害が拡大する中で、緊急支援のニーズが非常に高まっています。こちらの状況にも引き続き着目してくださいますよう、どうぞよろしくお願い致します。
ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 菊池