2023.01.29
緊急人道支援

ワルシャワ仮設事務所の芦田からご報告します。

避難民
難民

こんにちは!海外緊急人道支援を担当している芦田雄太です。現在ポーランドに拠点を置き、ウクライナおよびポーランドの2か国で避難民支援を行っています。

2023年を迎えても、ウクライナでは連日のミサイル攻撃によって多くの人々が被害を受け、生まれ育った地を追われています。侵攻からすでに1年近くが経過していますが未だ停戦の兆しは見えず、援助機関やコミュニティにも援助疲れが見えています。

シャンティは2022年8月より、現地のパートナー団体と連携して「ウクライナ人道危機の影響を受けた被災者を対象とした食糧・生活必需品の配布および教育支援事業」をポーランドおよびウクライナ国内の2か国を対象に実施しています。

多くの人々が住む場所を追われ、食料、シェルターなど基本的な人道支援ニーズが高い状況が続いています。活動では、1,650人を対象に、パスタ、油、砂糖などの基本的な食料品の配布に加え、シャンプー、洗剤などの生活必需品を配布しています。

キーウにおける物資配布の様子

長引く避難生活によって、学校に通うことが困難となっており、緊急下における子どもたちへの教育支援ニーズも非常に高くなっています。シャンティは、様々な困難な状況に置かれている子どもたちの教育へのアクセスを改善するために、275台のタブレットを両国のシェルターに設置しています。また、学習用品を十分に有していない子供たちに対して、ペン、ノート、体操着、図工セットなどを配布しています。

設置したタブレットを使用する子どもたち

2023年1月中旬に、ポーランド側の避難民シェルターを訪れました。多くの避難民世帯はシェルターに退避してすでに10か月近くが経過しています。避難当初は、異なる言語・文化、慣れない共同生活などで、子どもたちは感情の起伏が激しく、部屋から出たがらず、本当に難しい日々を過ごしていました。しかし、今回の訪問では、新しい環境に慣れようと必死に学ぼうとする子どもたちを見ることができました。ほかの避難民の子どもたちやホストコミュニティと交流をすることでいまの現状を受け入れようとしています。

 

「将来は、ポーランド語、ウクライナ語、英語を使える通訳になりたいです。」

シェルターで生活する11歳の女の子は、学校も楽しく、特に言語を学ぶのが大好きで、ポーランドで通訳として働きたいと将来の夢を話してくれました。

 

ポーランド語の理解や習得が早い子どもたちは現地の学校でも溶け込むのが早く、徐々に開かれた教育環境で学ぶことができています。一方、ポーランド語や英語などの外国語が苦手な子どもたちは、ホストコミュニティに溶け込むのも時間がかかり、限定されたコミュニティの中でのみ生活をし、外部との交流や学校では常に通訳などのサポートが必要になります。

ポーランドの避難施設の様子

教育に限らずですが、避難民の定住サポートはコミュニティや行政が連携して包括的に実施することが求められ、さらに中長期でのコミットメントが求められます。ウクライナに帰還する目途が立たない以上、どのように新しい土地で避難民の人々が尊厳を持った暮らしを実現することができるのか、地域や行政と検討を重ねながら援助を実施していきたいと思います。

 

本事業はジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆さまからのご支援を受けて実施しています。

 

海外緊急人道支援担当 芦田雄太