こいのぼりが泳ぐ能登の空|令和6年能登半島地震
5月の能登では、子どもの成長と能登の復興を祈り、多くのこいのぼりが青空を泳ぐ様子が見られました。
こいのぼりの腹には「一日も早い復興を願います。頑張ろう、輪島!」と書かれている
今月は多く節目があり、災害ボランティアセンターのニーズ受付の〆切、公費解体申請の〆切、災害公営住宅希望調査や説明会が行われ復興へ歩みを進めます。前向きな側面と同時に、災害公営住宅に入居後の払い下げによる賃借料増額を心配する声、街の景観保護、加速する少子高齢化と人口流出という多くの課題が残り、その中で掲げられる「創造的復興」とは新たなまちを創り出すのではなく、昔ながらの暮らしが残る能登に合った生活習慣や文化、伝統を大切にしながらも、現在のニーズや課題にも対応した持続可能なまちづくりが求められていると言います。
2024年7月/地割れにより手つかずの千枚田
2025年5月/一部田植えを終えた千枚田
能登の観光名所として知られる千枚田では、水を引き田植えを終えたばかりの美しい景色が広がります。昨年は、二重被災を受け、作付けを行うことができなかった中、地元農家やボランティアによって少しずつ準備が進められてきました。今年は全体2割200枚程度に田植えができたそうです。
人々の生活も千枚田と同様に前へ進んでいますが、被災した家屋の修繕が完了した人もいれば、今も住み慣れた家を公費解体しなければならないのかと思い悩む方も少なくありません。復興の歩みは時間が経つにつれて差は開き、非常に目には見えずらいものです。
移動図書館で返却されてきた本
移動図書館で話を聞く中、初めてわかる地域の状況もあります。
「今月〆切の公費解体にとりあえず申請した。でも、元住んでいた集落には水もまだ通っていないし、地域で60件ある中、半数くらいは直せば住みなおせるかもしれないと聞いた。
子供たちや親戚、近所の意見さまざま聞いているとどうすればよいかわからなくなってきた。私は生まれ育ったところだから戻りたい。」
集まって話をする機会もないので一人思い悩むことが多いのだそうです。
その他にも、そろそろお仕事を再開したい、屋根のブルーシートがはがれてきたかもしれないなどの相談を受けることもあります。
地域の様々なアクターと連携し、聞いた声をニーズとして受け取り支援に繋げるお手伝いも一つの役割だと感じています。
千枚田に水が引かれ太陽に照らされ輝くように、一歩ずつ復興への歩みが進むよう願いながら活動を続けます。
国内事業課 中井
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