2008.06.25
緊急人道支援

サイクロン・ナルギス~被災者インタビュー

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ

タイのメーソットには、5月初め、ミャンマー(ビルマ)を襲ったサイクロン
「ナルギス」で被災し、国境を越えて避難している人びとがいます。
SVAが支援している「EAT-BURMA」では、こうした被災者に一時
見舞金1000B(日本円で約3000円)を出しますが、それ以上のケアは出来ない
のが現状です。
滞在が長期になればビルマ人コミュニティが何らかの形でサポートすることに
なりますが、実際は滞在許可を持っていないケースがほとんどなので、タイ
入管に見つかれば強制送還の対象になります。
メーソットのみならず、難民キャンプの親戚などを頼ってキャンプに直接入った
被災者もいますが、状況的には「避難民」「難民」に近くても、正規の難民
にはなれない彼らをどうやって支援していくのかが注目されます。
今回タイ側に到着したばかりの5家族の話を聞きました。家族を亡くしながら
遺体も見つからない悲しみ、家・家財道具のいっさいを無くしたショックを抱
えながら、万が一の望みを託して国境を越えてきた人々です。
夫と2人の子どもを亡くした56歳の女性は、残った2人の子どもと被災後3日間
壊れた家で過し、教会へ移動。その後、国境を目指し、対岸のミヤワディを経由して
4日にメーソットに来ました。特に親戚がいたわけではなく、新たに水田を作り、
家を修理するお金を何とか手に入れたいという必死の思いだったといいます。
「自分の田畑、土地がどうなるか心配。土地無しになったら食べていけない。
一刻も早く、村に家に帰りたい。しかし、何も無しでは帰れない。今欲しいのは、
生活の元手となる資金。お金。お金があれぱ、ミャンマー(ビルマ)国内で
なんとかやっていける」
「政府からの援助は、今後も一切期待できない」という彼らの言葉が心に重く
響きました。
そして「全てを失って、気が狂いそうな私の話を聞いてくれて嬉しい」と話して
いました。たった一日で、家、家族、水田、家財などを奪われ、自身では解決し
ようのない問題に直面している被災者。物資や経済的な援助だけでなく体験に耳を
傾け、励ましてくれる「癒し」も必要性とされています。

ミャンマー(ビルマ)難民事業事務所 小野豪大