2016.09.07
海外での活動

絵本出版の裏側

ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ
活動風景

ハラゲー! コープンカー! インターンの浅木です。
現在、メーソットにあるミャンマー(ビルマ)難民キャンプ事業事務所では、絵本出版に向けて準備を進めています!

今日は、その様子を写真と共にお届けしたいと思います。

今回、製作を進めている絵本の内容は、「1年の流れ」を扱ったものです。日本で例えるならば、1月はお正月、3月には花見、5月には空に鯉のぼりが揚がり、6月は梅雨が来て・・・という内容のものです。1年の季節を感じると同時に、そこに存在する文化も認識することが出来そうですよね!

(挿絵の確認を行うトウさん)

しかし、ここの事務所ならではの課題が浮き上がります。

難民キャンプに配布される絵本は、1タイトルにつき、カレン語とビルマ語の2言語に翻訳されています。しかし、今回の題材となる「1年の流れ」を見ていく際に必要な「暦」が、ミャンマー(ビルマ)とカレンで大きく違うのです!西洋でいう「1月」は、カレン歴だと「12~1月」ビルマ歴だと「10月」にあたります。

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どうやら旧暦を使うのは難しそう、そして、近年ではミャンマー(ビルマ)やカレン州においても、旧暦を使う機会が減少していると聞きました。

しかし、文化は変容していくものだということを前提に、「旧暦は使用頻度が少ないから知らなくてもいい!」と切り捨てるのではなく、そのような状況でも、彼らが独自の伝統・文化に触れる機会を担保することで、自身の民族のすばらしさや価値観を捉え直すきっかけを作るのが重要だと思っています。

個人的な考えではありますが、その言語を使うということは、その文化特有の観点から解釈するということに似ていると思います。
たとえば、日本語で「もったいない」という価値観は、英語で対応する単語がなく、アルファベットで「Mottainai」という表記が使用されています。これって、「もったいない」が日本語使用者の独特な価値観を表していると思うんです。

このように、違う言語や時代の変化に対応する新しい言葉が作られている一方で、消滅する言語があるといった話もよく耳にします。これを、単なる「言語の消滅」という事実でなく、言語使用者独自の価値観が失われると考えると、言語の持つ意味はとても大きいものだと感じました。

協力してくださっている、翻訳家さんに「旧暦を使うことは難しい」と言われても、あきらめることなく、机にビルマ・カレン双方のカレンダーを広げ、試行錯誤が続きました。IMG_2583

その結果、英語・カレン語・ビルマ語の書かれた対応表が完成しました!その後は、対応表をもとに絵本の構成について話が進められています。

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もちろん、暦の違いに限らずカレン語・ビルマ語の間にはさまざまな違いがあります。
時には課題としてあらわれるこの言語間の差を保つことで、子ども達が自身の伝統・文化を学ぶだけでなく、異文化理解や相互理解に繋がるきっかけになればと願っています。

出版される絵本を手にする子どもたちには、ぜひビルマ・カレンの違いも注目してもらえたらなと思いました!