【カンボジア事業】実践 → 実感 → 実践のサイクル
チョムリアップ・スォー(カンボジア・クメール語で「こんにちは」)
事業サポート課の木村です。
先週から、出張でカンボジアに来ています。私自身、3年ぶりのカンボジア。
首都のプノンペンは高層ビルやおしゃれなレストランが増えましたが、
地方は変わらずのゆったりとした雰囲気です。
【写真】兄弟と仲良く過ごす子どもたち(いずれもシェムリアップ郊外)
カンボジアで取り組んでいる活動の進捗状況を視察に来たのですが、シャンティが村や幼稚園で最近行った研修の成果を見ることができました。
まずは、コミュニティラーニングセンター(CLC)の活動から。
【写真】村の人へのインタビューの様子(サンコーCLCにて)
シャンティは2013年より、シェムリアップ・コンポントム・バンテイミンチェイの3州で合計6館のCLCを支援しています。CLCの建物をつくるだけではなく、村の人たちがCLCの使い方をみんなで決めたり、図書室での読み聞かせの仕方や識字教室、要望の高かった農業や野菜栽培、養鶏などの研修会も行いました。
訪問した二―ペック村のCLCでは、夜に識字教室を行うスペースで選挙人登録の作業が行われていましたが、図書室の方では常連の女の子が熱心に、入口では男性がハンモックに揺られながらゆったりと本を読んでいました。
また、ロンコー村のCLCでは、農業研修を受けた方がそこで学んだSRIという手法を使った実践の成果を見せてくれました。SRI(稲集約栽培法)は、苗を一本づつ丁寧に十分間隔をあけながら植え、水を与える時期と与えない時期を交互に繰り返したり、有機物質を土にできるだけたくさん与えるなど、カンボジア人が通常行っている農業のスタイルとは全く異なるものでした。よって、私がお伺いした農家の人も研修後、自分の田んぼの一端を使って恐る恐るSRIの実践に踏み切ったそうです。
そして、その成果が、コチラ
【写真】シャンティのソット・コサル職員(農業専門家)が持っている通常の稲(左)と、農家の方が持っているSRIで行った稲(右)
来月の収穫が楽しみですね。
続いて、夕方から夜にかけて行われている識字教室も見学しました。女性は家事や子育てで忙しいですし、昼間も農作業などで疲れていると思いますが、熱心に学ぶ姿に頭が下がる思いでした。
●CLC事業について詳しくはコチラ
***************************
次に、シェムリアップからバッタンバン州に移動し、幼児教育事業を視察しました。こちらの事業は今年(2016年)から開始した活動です。
幼児教育の専門的知識や実践方法などは、本事業でのパートナーである静岡県の公益福祉法人天竜厚生会様からインプットしていただき、カンボジアの幼稚園の先生に向けて研修や、カンボジア関係者を日本に招いてのスタディツアーを行いました。
【写真】バッタンバン州の中央幼稚園。11月1日からの新学期に備えて、入園者の受付が行われていました。
スタディツアーに参加したバッタンバン中央幼稚園園長のエインさんにインタビューしたところ、早速、帰国後すぐに、日本で学んだ日案(毎日の指導計画)を作ってみた、と見せてくれました。
【写真】右がエイン先生
衛生教育もしっかりやりたいと、来月からの新学期に向けて抱負を語ってくれました。
また、同じく研修やスタディツアーに参加したワット・コー幼稚園のラチャナー先生も、「日本で教えてもらった活動の連続性、例えば、花のことを教えるにしても、1日目は花を観察させ、2日目は花の絵を書き、3日目は花をつかった工作をするといったアプローチをとることが、子どもたちのモノのに対する多角的な認知を養うことを学んだので、是非、この手法を取り入れたい」と話してくれました。
【写真】ラチャナー先生(右)と幼児教育事業担当のモンクラー職員(左)
●幼児教育事業について詳しくはコチラ
**************************
いずれの事業でも、研修に参加した人たちが、それを実践して、活動によって得られる成果・自身の成長といった手ごたえを実感し、更に実践を重ねていくサイクルをつくることが、その後の主体的な取組や活動の継続性につながっていくのだなあと改めて実感しました。
尚、CLC事業は日本NGO連携無償資金協力事業(外務省)の、幼児教育事業はJICA草の根技術協力事業のほか、民間からのご支援にて実施しております。来年度も両事業は継続して実施しますので、引き続き、みなさまからの温かいご支援をお願いできましたら幸いです。