カンボジア 2025年度の読書推進活動、スタート！
チョムリアップスオ！カンボジア事務所インターンの佐藤です。
さて、カンボジア事務所では今年度も、学校建設活動・幼児教育事業・読書推進活動の三つを通して、教育課題の改善に取り組んでいきます。そして今回は、先日行われた読書推進活動の様子を取り上げてご紹介したいと思います。
１．バッタンバン市の特別支援学校の訪問
2025年度の読書推進活動における新しい取り組みとして、バッタンバン市の特別支援学校における図書室環境整備および図書館員向け研修があります。そこで、今年の計画の共有と今後の具体的な活動手法を検討するための現状やニーズを改めて確認することを目的に、先日学校を訪問しました。
この学校は障害を持つ子どもたちを対象とした公的な教育機関で、盲教育、聾教育、自閉症クラス教育の3種類のプログラムが展開されており、幼稚園から12年生（日本の高校3年生に相当）までの学年の子どもたちが在籍しています。そして、教育省による特別支援学校に向けたカリキュラムの一環として読書活動が入っているのですが、バッタンバン市の特別支援学校では、特別なニーズを持つ子どもたちに向けた図書室内の教材の不足や図書館員のキャパシティの問題から、読書活動の実践が困難な状況がありました。そこで、長年にわたって図書館活動を行ってきたシャンティに対し、図書室の環境整備や図書館員への研修の実施に関する要請がありました。
今回の訪問では、まず校長先生と図書館員との打ち合わせを行った後、図書室の様子を見学しました。図書室内は整理整頓がされている印象を受けましたが、本の多くは教科書であり、絵本や小説などは少ないようでした。また、図書館員は5年生の教育クラスも兼任しており、図書室の運営に関する知識は非常に限られているとのことでした。
バッタンバン市特別支援学校で使用されている点字用マテリアル
続いて、教室での授業風景も見学しました。各クラスの教員は、受け持っているクラスの児童に合わせてさまざまな工夫を試みているようでした。教員が児童一人一人に向き合い丁寧に対応している様子が、強く印象に残っています。
特別支援学校での授業風景を見学する職員
特別支援学校へのサポートはカンボジア事務所として新しい取り組みですが、今回の訪問をもとに、学校のニーズおよびシャンティができることを改めて整理・確認し、引き続き特別支援学校とコミュニケーションをとりながら活動を進めていけたらと思います。
２．バッタンバン州での移動図書館活動
次に、2025年度初回の移動図書館活動についてもご紹介したいと思います。
今回は、バッタンバン州内の農村部に位置する小学校に行ってきました。バッタンバン市から車で１時間半ほどかけて向かったのですが、出発してから気づいた頃には辺り一面が自然に囲まれており、同じバッタンバン州の中でも市内と農村部では全く異なる風景があることに改めて気づかされました。
今回の小学校には幼稚園も併設されており、シャンティが以前行っていた幼児教育事業の対象園の一つだったと校長先生から伺いました。そのため、幼稚園の教室には図書コーナーがあるのですが、校舎自体には図書室がなく、児童の図書へのアクセスは非常に限られている状況です。そこで今回は、幼稚園から6年生までの全学年の児童に向けて、移動図書館活動を実施しました。
初めにシャンティ側から自己紹介を行った後、校長先生からお話をいただきました。校長先生は、読書が持つ力について子どもたちに伝えており、シャンティの移動図書館活動に共鳴してくださっている印象を受けました。
続いて校長先生によるアイスブレイクが行われた後、弊会職員によるおはなしの読み聞かせがありました。時折職員から問いかけがあると、子どもたちからは元気な返事がありました。
校長先生によるアイスブレイク
読み聞かせを行う弊会職員（『ひとりじめ』文：本間正樹、絵：いもと ようこ、出版社：佼成出版社）
読み聞かせの後は、子どもたちに自由に読書を楽しんでもらいました。新しく目にするたくさんの本に、みな興味津々のようでした。幼稚園児の中にはまだ文字が読めない園児も多かったため、代わりに数字やアルファベットを学ぶことができるパズルを用意しました。パズルが完成すると、一目散にスタッフに見せに来てくれました。
読んだ絵本や完成したパズルを見せに来てくれた子どもたち（『わたしのワンピース』著者：西巻茅子、出版社：こぐま社）
その後、アクティビティの時間では折り紙で犬を作ることに挑戦しました。先生方のご協力のもと、子どもたちは普段なかなか触れる機会のない折り紙に触れ、完成後は思い思いに顔を描いて楽しんでいるようでした。
移動図書館活動はとても地道なものですが、その中で毎回子どもたちが読書を楽しんでいる様子を見ると、本に触れる機会の大切さを私自身も改めて学ぶと同時に、この活動が本の楽しさに出会うためのきっかけ作りにもなっていると感じます。このきっかけを少しでも多くの子どもたちに届けるべく、これからも活動していきたいと思います。
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。今年も引き続き活動の様子を現地からお伝えしていきますので、今後とも温かいご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。
カンボジア事務所インターン 佐藤
