ウクライナ 事業終了報告
昨年2023年8月より約一年間実施したウクライナ事業がこの9月で終了しました。
ウクライナでの事業実施は2年目となり、前回の活動地であったポルタヴァ州に加え、ザポリージャ州の2か所で事業を進めてまいりました。
ポルタヴァ州・ザポリージャ州は、東部・南部の国境付近から避難している国内避難民を多く受け入れています。
長引く避難生活の中で、将来への不安や社会的な疎外感を抱える避難民に対して、生活再建に必要な知識や社会交流のための機会を提供する場として職業訓練・ビジネススキル・メンタルヘルスに関わる講座の開催や、緊急的な食糧・衛生用品などの物資配布を行いました。
講座の内容は過去の活動報告からご確認ください。
戦況が日々深刻化する中での事業実施は、スムーズに進まないことも多々ありました。インフラ設備を狙った攻撃が続く中、十分な電力供給が行われないためにオンラインで実施する講座の遅れがあった際には、事業期間を延長しました。また、攻撃の激化により食料供給が滞ったため、日用品に加えて急遽食料物資を配布するなど、戦況や事業地の状況に合わせた事業運営を行いました。
講座や物資配布を行う中で、避難民の方々にアンケートを配布しており、講座を受講することで将来に対する不安の軽減や、就職・学習継続へのモチベーションの上昇がみられるかをモニタリングしました。
120名以上から回答を頂き、回答の一部として、下記の通り、86%以上が講座終了後にも学習を継続するという回答を得られました。また、講座の開催が社会的な交流の機会を増やしたと回答した方は97%以上となりました。
上記の内容を含めたモニタリングの結果は現地の提携団体であるAdult Education Center (AEC)と共有しました。
オンラインミーティングの様子
アンケート内容を共有したオンラインミーティングでは、この1年間で多くの国内避難民の方へ講座や物資を届けたことに対する感謝の言葉をいただき、嬉しく思いました。
9月で事業は終了となりましたが、引き続き国内避難民の方は多くの支援を必要としており、AECは国内避難民の方に対するサポートを続けると、力強い言葉もあり、とても印象的なミーティングとなりました。
今回の事業において、ポルタヴァ州・ザポリージャ州で支援を受けた国内避難民の総数は、延べ講座参加者:2,234名、物資配布数:7,007セットとなりました。
これもご支援者さまの温かいお気持ちが形となり、これほど多くの方への支援が実施できましたこと、感謝申し上げます。
ウクライナへの本格的な侵攻が開始してからおよそ2年7カ月が経ち、避難民は大変長い時間において、精神的・物理的にも厳しい生活を強いられています。
一方で「支援疲れ」という言葉がある通り、支援する側の関心度が低下していることも懸念されます。ご支援者様方には、引き続きウクライナへの温かいお気持ちを寄せていただけますと幸いです。
海外緊急人道支援課
吉村
届いた物資の荷下ろしをしているところ
ヘアドレッサー講座での様子