ラオス JICA草の根技術協力「初等教育における少数民族児童の指導・学習環境改善事業」を開始しました!
みなさま、ブログをご覧いただきありがとうございます。
本記事では、シャンティのラオス事務所にて開始した新規事業について紹介いたします。
ラオス事務所は、今年6月3日よりJICA草の根技術協力事業(パートナー型)として「初等教育における少数民族児童の指導・学習環境改善事業」を開始しました。事業の主な目的は、少数民族児童のラオス語習得を補助するための指導・学習環境の改善です。事業期間を3年間とし、ルアンパバーン県の2郡にある約20校を対象とします。
ラオスは50以上の少数民族が共存している国です。それぞれの民族が独自の文化と言語を持っていて、僻地に行けば行くほどその特徴が色濃く見られます。ラオス語に接する機会が少ない山岳地帯等に住む少数民族の子どもたちは、ほとんどラオス語を話しません。
しかし、学校における指導・学習はラオス語で行うことが義務付けられています。
学校教育において使用される言語が理解できない、話せないことは学習到達度の遅れに大きく影響を及ぼします。実際、ラオ族の子どもと比べて少数民族の子どもたちの学習到達度は遅れを取っていることが指摘されています。
こういった状況を改善すべく、少数民族の(ラオ語を話さない)子どもたちが学校で楽しく学びを継続できるようになるため、本事業では以下の3つの活動を実施します。
〇 少数民族の子どもたちが楽しくラオ語に触れる機会を増やすことを目的とした絵本の配架と読書コーナーの設置補助、読書推進活動の研修
〇 教員のラオ語使用による効果的な授業実施を促進するための研修
〇 村の代表が積極的に教育開発に参画するための能力強化研修
キックオフ会議の実施
キックオフ会議:シャンティ職員と教育スポーツ省、県と郡の局の職員たち
上述の活動を円滑かつ効果的に実施するためには、関連省庁及び県・郡の教育スポーツ局との連携が必須となります。そこで、シャンティの事業の紹介及び事業期間中の協力と密な連携の約束を交わすため、キックオフ会議を実施しました。
キックオフ会議の冒頭では、ラオス事務所副所長のオイよりシャンティの活動と本事業を実施することの重要性と意義を説明しました。
副所長オイによるスピーチの様子
調整員補佐のシーライ職員による事業説明の様子
本会議では、出席者からも多くの質問があげられ、本事業に対する関心度の高さを確かめることができました。それと同時に、少数民族の子どもたちが直面している問題はラオスという国が抱える課題であり、シャンティが取り組む意義があることの確信を得ました。
ベースライン調査の実施
キックオフ会議を実施した後、シャンティは実際に対象地であるポンサイ郡とムンゴイ郡を訪問しました。訪問の目的は、学校や村の実際の状況と教員や村人が抱える課題についてインタビューを通して調査することです。
村の代表と教員に学校の状況を聞いている様子
予想していた通り、対象の両郡において多くの少数民族の子どもたちがラオス語を理解できないこと、一方で、授業で使用する言語がラオ語と決められていることに対する困惑が多く共有されました。
ナリー職員が教員に聞き取り調査を実施している様子
上述の通り、ラオ語の使用頻度は山岳部に行けば行くほど低くなっていきます。本事業は、そういった地域の学校、子どもたちを対象としています。そのため、調査には山岳地の未舗装道路を通行する必要があり、時に困難を伴いました。
運転手のノンは安全を確保しながらゆっくり山道を運転しました
また、ラオスは現在雨期に入っており、連日の雨が道路状況をさらに悪化させていました。道路が寸断されていて、車が通行できない場合はボートを使います。
対象の学校がある村にボートで向かっている時の様子
それでもシャンティのラオス事務所は、職員の安全を確保したうえで「どこへでも 誰にでも」をモットーに、僻地に住む少数民族の子どもたちのために学びの機会を届けます。
標高の高い場所にある村から見える雲海
今後も、当事業の進捗をシャンティの公式ウェブサイトで報告いたしますので、是非ご覧いただけますと幸いです。
ラオス事務所 喜納、事業サポート課 矢加部